ガルヴィ30周年特別企画 「パートナーブランドと振り返るキャンプシーン」 〜オンウェー泉里志代表インタビューその1〜
オンウェーの歴史
1995年、輸出入をメインとする商社として創業。時間があるときに請け負ったあるファニチャー工場の検品仕事をきっかけに、よりよい品を作ろうと一念発起し、製品開発がスタート。以降、ハイテク素材の使用、大胆な発想でファンを獲得している。
泉里志 代表取締役
商社勤務ののち、1995年オンウェー株式会社を設立。大規模プロジェクトに参画する合間に、独創的なファニチャーを発表し、グッドデザイン賞を7回受賞している。
目指すのは100年続くファニチャー作り
キャンプ用チェアは、その人のキャンプスタイルを表現するアイコン的な役割を担っている。
留守中のサイトであっても、たくさんのグラウンドチェアやベン チが並んでいると、仲よし家族だと想像できる。ローバーチェアがあれば、使用感からキャンプ歴が長いのか、無骨を演出しているのかをイメージできる。
キャンプサイトの要といえるチェアだが、家族全員分のチェアをそろえるとなると、なかなかの出費となる。そのため最初は「座れたらなんでもいい」と安価なチェアを選び、使っているうちに重い、 かさばる、痛いと不満噴出。美しくて座り心地のいいチェアがあるはず......と探し求める。これがチェア沼。
そんなチェア沼に陥った人を一発納得させるのがオンウェーだ。
オンウェーが目指すのは“100年続くファニチャー”作り。
「かつて大手マッサージチェアメーカーの人に、いい椅子の定義をたずねたところ、“2時間の映画を見終わっても疲れを感じない椅子”と、答えが返ってきました。これをヒントに開発したのがディレ クターチェアです」(泉さん)
旧来のディレクターチェアは、パーツが多くて重い。しかし、オンウェーでは背から肘掛け、脚を一体化した片側フレー ムを作れば、軽量化を図れることに気づいていた。
その上で疲れにくい肘掛けや座面、背もたれの角度、重力分散などを細かく検証して当てはめ、独自構造のディレクターチェアを発明したという。
「座り心地とともに軽量化を実現して、世界累計100万脚販売という大ヒットになったんですよ」(泉さん)
そう語る泉さんの机には、いくつものミニチュアファニチャーが並んでいる。
美しい曲線と座り心地が印象的なディレクターチェアをはじめ、オンウェーではこれまでにいくつものファニチャーを生み出した。一貫しているのは「構造重視」の開発。ユーザーの使用シーンをイメージし、使いやすい構造を考える。その結果、生まれるのが合理的な美しさというわけだ。
そして、その構造を考え、自ら試作するのが代表を務める泉さん。オンウェーブランドが誕生する前より、開発したものを他社に供給しており、作品数は優に100を超えるという。
聞き手/大森弘恵
写真協力/オンウェー