【話題沸騰中の四角い弁当箱 】キャンプ好きをとりこにする メスティンの魅力を再確認
どこか懐かしく感じるハンドル付きの四角いアルミ製クッカー、メスティン。北欧生まれのメスティンが多くの日本人キャンパーに愛される理由とは? その魅力を探ってみよう
Point① ハンドルが取れる
便利なハンドルだが、ハンドルのカバーはポリアミド製でストーブの熱には耐えられるが焚き火などの高温にさらすと溶けてしまう。ハンドルを取れば、グラタン皿としてダッチオーブンに突っ込みやすくなる。
Point② 驚きの密閉力
いろいろなメーカーでアルミ製メスティンを販売しているが、形は似ていてもかみ合わせに違いあり。トランギア製はしっかり閉じて、ひっくり返してもフタが落ちにくいほどぴったりしていておいしさを逃さない。
Point③ 小物の整理整頓に
メスティンは箱形のクッカーだからバックパックやコンテナボックスに収めたときに無駄な空間が生じにくい。スウェーデン製のカップや食器、アルコールストーブを入れやすく、ソロ用一式をまとめるのにも便利。
Point④ なにかとフタが使える
フタにもフチがあるのでフライパンとしてちょっとした炒め物に使えるし、1合分の米を量るのにも重宝する。また、フチがない・フチが浅いフタとは違い、炊飯時に簡単に浮き上がることもない。
Point⑤ 購入後はバリ取りが必要
サイズ・素材違いのメスティンが販売されているが、アルミ製のメスティンはフタや鍋の切り口にバリが残っていることも。購入後は紙やすりでなめらかにしておこう。できれば軍手をして作業するとケガの心配がない。
Point⑥ シーズニングで焦げ防止
そのまま使ってもいいが、アルミ臭が気になることも。大鍋に米のとぎ汁を注ぎ、メスティンを煮て膜をつくることで匂いを防ぎ、焦げ付きにくくなる。大鍋がないならメスティンでとぎ汁を沸かすだけでもいい。
Point⑦ 軽くて扱いやすいアルミ製
強火が苦手なアルミ製。扱いにくく感じるけれど、そもそも弱火~中火で食材のうまみを引き出すのが料理上手の第一歩。メスティンは理想の鍋ともいえる。それに薄手なので、弱火や中火にしても熱ムラを最小限に抑えられる。
メスティンはメス(MESS)=軍隊での食事、ティン(TIN)=ブリキの容器を意味しており、要するに軍隊で使われるブリキ製の鍋を指す。もっともメスティンを代表するトランギア社製メスティンの現行品を見る限りブリキではなくアルミ製だし、メスティンには〝四角い〟という意味は入ってはいない。それでもメスティンというと思い起こすのがあの取っ手付きの四角いクッカーだ。
丸い鍋に比べて四隅に熱が伝わりにくい角形の鍋、メスティンがここにきてもてはやされているのはなぜ?
アウトドア雑誌だけでなく、ファッション誌でもメスティン料理を披露している、みなくちなほこさんに聞いてみた。
「メスティン料理ってぎっしり料理が詰まっていますよね。ここまでヒットしたのは日本の弁当文化が根底にあるからだと思います。ご飯がぎっしりの四角いお弁当箱、多彩なおかずが入った幕の内弁当を見ると幸せになりますから」(みなくちさん)
今でこそ樹脂製のカラフルな弁当箱が主流だが、昭和の半ばまで弁当箱といえばアルミの四角いものだった。日本の弁当文化がメスティンブームをつくっているという考察は納得だ。
「私は鉄鍋を中心にいろいろな調理器具を使ってきましたが、メスティンの特徴はやはり炊飯。ほかの鍋よりもおいしく炊けるんですよ」(みなくちさん)
薄手のアルミなので強火が苦手だが、炊飯では強火は不要。さらにアルコールストーブや固形燃料を使えば1合の炊飯に適した火加減になり自動炊飯ができるのだ。
キャンプブームの今、初心者は鍋での炊飯に不安がある。この手軽でおいしいご飯ができるのも、メスティン人気を後押ししているのだろう。
弁当文化にマッチ
料理がぎっちり詰まったメスティンはいかにもおいしそう! 小さい頃から弁当文化に慣れ親しんだ日本人にとって、ご飯やおかずが詰まったメスティンは幸せの証なのだ。
とにかくご飯がおいしい
中火で5分ほどかけて沸騰させ、弱火で水蒸気が出なくなるまで(約5分)加熱すればおいしいご飯のできあがり。長年使ってフタが浮きやすくなったら、重しをのせて調節。
おぼえておきたいメスティン基本テク5
熱伝導率の高いアルミ製だから、高火力ではなく中火~弱火でじわじわ熱することでムラも焦げもなく仕上がる。素材と形に注目すれば、失敗なく簡単にメスティン料理ができるはずだ。
Technique1 2階建てで保温
フタにつまみがないフラット形状なので、缶詰やシェラカップをのせられる。熱伝導率が高いので、保温はもちろん、目玉焼き程度ならつくれる。貴重な燃料を無駄なく使おう。
Technique2 ときどき混ぜる、動かす
底が長方形なので、四隅はバーナーの火との距離が遠くなる。薄手のアルミなのでムラになりにくいが、不安ならときどき混ぜたり、軽く揺すり、位置を動かすなどしてもいい。
Technique3 炎集中型はパッドを使う
バーナーによっては炎が集中するものがある。さすがに一点集中型では焦げることがあるので、バーナーパッドで熱を分散。弱火が苦手なバーナーの火をわずかに弱める働きもある。
Technique4 焚き火調理は慎重に
焚き火にかけてもいいが、アルミ製のメスティンは長い時間高熱にかけると変形したり穴があいたりする危険がある。強火の遠火にするなど、焚き火での調理には注意が必要だ。
Technique5 アルコール、固形燃料で自動炊飯
エスビットの固形燃料スタンダードを使えばほったらかしていてもご飯を炊ける。アルコールストーブは12~15分燃焼する燃料の量を知っておけば、同様にほぼ自動炊飯できる。