次のキャンプが変わる! “非日常的な時間”をより楽しむためのヒント
PHOTO/柴田直行
10月に、実業之日本社が発行するバイク誌「RIDERS CLUB」「BikeJIN」「CLUB HARLEY」と、アウトドア総合情報誌「GARVY」が中心となり、関係者向けのオフロード走行会&キャンプイベントを開催した。豪華なキャンプ空間とオフロードバイクを思いっきり楽しめる新イベントは、アウトドアを自分のライフスタイルとして楽しむための大きなヒントを教えてくれた。
新たな遊び方の源泉となる“非日常感” は「演出」により実現できる
今回のイベントの大きなテーマは「新しいバイクの遊び方」。参加者たちは長年いろいろな形でバイク遊びを楽しんでいるが、さらなる「新しい」遊び方とは何か。いままでの常識や感覚を捨て、遊びのベースとなる考え方を変えてみるということだ。それは、自分で自分の遊び方を演出する、といってもいい。非日常感を演出することで、「新しい」遊び方を生み出すのだ。
例えば、ある程度の道具が揃い、キャンプの経験を数回重ねていくと自分のスタイルが構築されていくが、それと同時に同じスタイルでのキャンプに飽きてしまうことがある。キャンプを続けていくうえで「誰もが通る道」といえるが、そんなときは“これまで体験しなかったモノやコト”をキャンプに取り入れてみよう。
今回のイベントでは、そんな状況を変える“より非日常感を味わうヒント”を多く発見。夜はオフロードコースに大型のスタータープを設置し、キャンプサイトの周りには、アストンマーティン、ランドローバーといったリッチなSUVや、こだわりのバイクが並ぶプレミアムなサイトを作り上げた。大型タープひとつとっても、なかなか体験できないサイズ。その開放的な空間があるだけで、「普段のキャンプ」が大きく変わり、新鮮な気持ちで楽しむことができる。
写真のようにウッド系のファニチャーでサイト内コーディネートを統一すれば雰囲気がガラリと変わるし、憧れの高級SUVやキャンピングカーをレンタルするキャンプなんてのも楽しいに違いない。普段と違うギア、クルマを使うことで、自分にとっての新しいキャンプを演出する。お金はかかるが、こうした演出が醸し出してくれる“非日常的な時間”を体験することは、私たちの「キャンプとは、こうだ」という思い込みの殻を破ってくれる。
料理も同様だ。大型の塊肉や新鮮な食材を買って、よりこだわったBBQを作るだけでキャンプは、今までとは違う、新しい魅力を持って私たちに迫ってくる。
道具も、今までよりも少し良質なものを用意するだけでも、キャンプで過ごす時間の感じ方が変わる。昨今は、どんなものもネットで安く買える便利な時代だが、こだわりが感じられるキャンプ道具はそれだけでキャンプの気分を上げてくれる。今回は、薪や炭を大量に用意し、複数の大型の焚き火台・ファイアーディスクを美しく使った。スタータープの足元でそれぞれ燃える炎は、まるで大きな松明のようで、中で談笑する人たちの笑顔を明るく照らし出す。
「バイクを愛する皆さんに、バイクの遊び方を広く提案したい。今、熱中している楽しみ方だけでなく、バイクにはさまざまな世界があることを知って欲しいと考えたひとつの形が、今回のイベント」と、白井社主は開催意図を話していたが、その想いが形となったイベントとなった。
このような演出の考え方を、実際のキャンプシーンで見てみよう。例えば、サイト全体をブランドや色で揃えると、統一が出て見た目にも鮮やか。ファニチャーを統一し、整頓して並べるだけでもかなりアガるが、オートキャンプサイトでは、クルマも含めてコーディネートすると、なお統一感が出る。2021年に発売されたコールマンのロッジ型テントとスクエアタープのセットをメインに、ツーバーナー、ランタン、クーラーボックスも赤で統一すると、上のような美しいサイトができあがる。
また、例えばGARVY本誌ライター・赤ワインさんは、“コーヒーとお酒を楽しむ”ためのテント内空間で過ごす。こだわりのギアに囲まれたキャンプサイト。 愛用するウイスキー用のロックグラスはスターウェアズの氷結。ポリカーボネート製で丈夫なのに、ガラスのような透明感。お酒時間には欠かせないアイテムだ。このようないわゆる“いい道具”は値段も張るが、10年、20年と長く気持ちを豊かにしてくれることを考えれば、むしろ安いといえる。与えてくれる楽しみは、価格をはるかに上回るものだろう。
ウエアコーディネートもキャンプの楽しみのひとつ
「さまざまなバイクの楽しみ」のひとつが、ファッション。今回の参加者たちは、走行中のファッションスタイルにもこだわりが見えた。その「楽しむ心」は、キャンプの「新しい遊び方」にもつながる。白井一成社主のマシンは、YB125SPのスクランブラーカスタム。マシンのイメージに合わせ、着用するウエアもトロイリーデザインズでコーディネートした。
オートバイ世界選手権元MotoGPライダーである中野真矢さん(写真左)は、イタリアの人気ブランド「BREMA」のバイクウエアで走行。日本ブランドにはないスタイリッシュさが、オフロードコースで映える。自身がプロデュースするショップ56designでも取り扱うブランドだ。
いわゆるオフロード向けのバイクウエアではなく、よりカジュアルなウエアコーディネートでオフロードコースを走った落合宏理さん。オフロードバイク用のパンツとグローブを着用しつつもそうしたウエアとの組み合わせは、キャンプ時に、アウトドアブランドでガチガチに固めず、好きなウエアと組み合わせた着こなしをする考え方の参考になるに違いない。
もちろん、 「いつか着たい」と思っていた憧れのブランドでキャンプウエアをトータルでコーディネートしてもいい。いずれも「自分のキャンプスタイル」をより豊かなものに変えるきっかけになるはずだ。キャンプでは、快適さに直結するテントやシュラフ、ファニチャーが重視されがちだが、私たち自身のウエアコーディネートにも意識を向けてみよう。
夜のコンテンツとして参加者が楽しんだシガー(葉巻)も、“非日常”なキャンプの楽しみ方のひとつとして提示されたものだ。エキスパートから教わることは、どんなことでも楽しいものだ。こうした体験が、 “非日常” を演出してくれるのだ。
今後のイベント展開をチェック!
このイベントは、 愛知県にあるオフロードバイクコース「スラムパーク瀬戸」で 開催された。バイク好きもキャンプ愛好家も楽しめるイベントとしてさまざまな形での展開を検討中。今後の情報に乞うご期待!
イベントの発起人は、元ロードレース世界選手権GP250チャンピオンの原田哲也さんと、 小社社主の白井一成。イベントには、釘村忠さん、鈴木友也さん、平田優さん、粉川樹璃(こがわじゅり)さん、中野真矢さんといった有名ライダーや、ファミリーマートと共同開発した新コンセプトウエアが話題のファッションデザイナー、ファセッタズムの落合宏理さんがゲストとして登場。約40名のキャンプ好きライダーとともに、オフロードコースとキャンプを楽しんだ。
RIDERSCLUBのWEBサイト(https://funq.jp/riders-club/article/745224/)では、イベントに参加したトップライダーたちによる座談会記事を掲載中。こちらもチェック!