さんま焼き師ってナンダ!? 前編
文・写真/斉藤正文
みなさん、さんま焼き師ってご存じですか? 毎年、東京タワー下で開催される大船渡のさんま祭りをご存知の方も多いと思います。さんま祭りで無料で焼いたさんまを配るのですが、その時にさんまを焼く人がさんま焼き師なのです。
え? さんま祭りでさんま焼かなければいけないの? と思った方、安心してください。さんま祭りでさんまを焼かなくても、さんま焼き師にはなれます。認定試験を受けて合格すれば、立派なさんま焼き師になれるのです。
以前、大船渡に行ったときに、「さんま焼き師認定試験を受けてみない?」と誘われていて、おもしろそうだしBBQでお肉を上手く焼くのに役立つのではないか?と期待して今回受けてみることにしました。
さんま焼き師が生まれたのは、平成28年です。本州一の水揚げ量を誇るを通じて、全国に向けて「水産のまち大船渡」「さんまのまち大船渡」を知ってもらい、さんまに関わる体験とふれあいを通じて市外の方にも大船渡市のファンになってもらうことを願い、全国初(世界初!)のさんま焼き師認定試験は開催したそうです。
平成28年は84名。平成29年は147名、平成30年は132名で、延べ363名の焼き師が誕生しているそうです。今年は、81名の参加となり、順調にいけば今年444名のさんま焼き師が誕生するそうです。誰がキリ番さんま焼き師になるのでしょうね?
試験は2日間です。初日は、いきなり実技、翌日は午前中に学科の講習と試験が行われるという日程です。さっそく会場にむかうと、受付にはたくさんの人が並んでいました。並んでいるときに「あっ受験票忘れた……」と気づき、どうしようかと悩んでいると、僕の前に並んでいたおじさんも忘れてきたようでした。
「大丈夫ですよ、お名前は?」と聞こえてきたので問題はないようでホットしました。まず受験者は、番号ごとに班になり、さんま焼きグリルを囲みます。講師は、さんま焼き師「師範第1号」の田端隆志さんです。いかにもおいしく焼きそうな出で立ちの田畑さんですが、師範に似つかわしくないその軽快なトークで受講生を魅了していきます。
今回は、焼き師の更新の方も混じっていたからか、フライング焼きのオンパレードです。すかざす田畑さんからコントのようなダメ出しが入ります。
まず、さんま焼き師の実技は、炭起こしから始まります。さんま焼き専用のグリルの真ん中に、炭を井桁に積み上げます。着火剤に火を付けて、炭が起きるまで待ちます。
ここでまた、重要なダメ出しが……。この日は臭くなってもいいように、Tシャツとハーフパンツ、サンダルの服装だったのですが、本番では長袖・長ズボン推奨で、サンダルはNG。さんま焼きグリルの底には、空気を入れるように穴が開いており、足元に炭が落ちてくるので危険だそうです。
さて、炭が起きたら、グリルの中で起きた炭を均等にならし、真ん中を空けます。そして、ここからは……実際に認定試験に参加して教わってください!目から鱗のさんま焼き術が披露されます。
こりゃ、BBQにも応用できる!
同じ班で、ご一緒したのは、地元岩手県内陸部からお越しの澤口さん、松山さんです。澤口さんは、松山さんからさんま焼き師試験を誘われ、当初あまり乗り気じゃなかったそうです。
澤口さんは、日頃頻繁にキャンプやBBQはしないそうですが、細かい手順や段取りなど、知らないことも多く、参加して良かったと喜んでいらっしゃいました。
実は、僕も同じ意見で、焼き方や手順をあまり深く考えたことはありませんでした。「炭で焼けばなんでも美味しいさ」は間違いだったのです。
さて、焼いたさんまを2尾食べたら実技は終了です。ぜひ、このさんまの焼き方を皆さんに習得して欲しいなと思います。
汗をかきまくり、煙に燻された体を、近くの大船渡温泉で流します。さて、2日目の学科試験って難しいのかな?と思いつつ、こうして1日目は終わったのでした。
後編へつづく
※さんま焼き師の試験は、事前申し込みが必要になりますので、詳しくは大船渡市観光物産協会のホームページでご確認ください。
大船渡市観光物産協会
http://sanriku-ofunato.or.jp
※さんま焼き師認定書が発行されますので、予め申し込みが必要になりますので、来年以降の試験は、大船渡市観光物産協会のホームページでご確認ください。