90年代初頭のキャンプシーンってどうだったの? 1991年のガルヴィ創刊号を見てみた
昨年、創刊30周年を迎えたガルヴィ。創刊されたのは、雑誌全盛期といっていい1991年。いまのようなインターネットはなく、情報は雑誌やテレビで取る時代。毎月多くの雑誌が創刊され、書店は人であふれていました。
「就職したら、クルマを買う」のが当然だった時代で、世の中は空前のRV(レクリエーショナル・ビークル)ブーム。ガルヴィは当初、RV+オートキャンプの雑誌として創刊したのです。 いまは「RV」とはいわず「SUV」とカテゴライズしますね。
この、ちょっと謎な誌名は、既に業界ナンバーワンとなっていたオフロードバイク雑誌「GARRRR(ガルル)」の姉妹誌として、それに「V」をつけたもので、「RVの雑誌」という主張をしています。 時を経て、アウトドア専門誌となって誌名の綴りを「GARVY」としたのは2015年です。
これが創刊号(物流的な定義として「増刊号」なので「発進号」としています)の目次。クルマの記事の割合がすごく高いですね。インプレッションはクルマがほとんどで、キャンプギアはカタログのみです。そして広告はクルマのホイールです。
実際の特集や試乗記事。クルマもバイクも毎月のように新型車が出たりモデルチェンジしたり。その情報だけで、十分に雑誌が成り立つ時代でした。トーラスなどの排気量が大きなクルマは、節税対策としてキャンピングカー仕様にしているものもありましたね。当時は水タンクとカセットコンロ程度で8ナンバー登録ができました。その後、車内の寸法等の基準が厳しく、というか適正になります(この春、それが緩和されました)。
ガルヴィは「中綴じ」という、センターをステープルで留めるタイプの雑誌で、センター付近は黄色い紙に印刷された「全国オートキャンプ場ガイド」、さらに少し小さい判型で「最新オートキャンプ用品カタログ」が綴じ込み付録的についていました。
いまやネットで検索すれば、どこにキャンプ場があるか、連絡先や料金も瞬時にわかりますが、それをリスト化したものすら貴重な情報でした。
お待ちかね、カタログを見て行きましょう。最近、人気が復活しているロッジテントがトップで紹介されています。当時の最高峰らしく、価格も現在とあまり変わりません。続いてドームテント。その2カテゴリです。ワンポールやパップテントなどはジャンルとしてありません。
ランタン、ストーブ&ヒーター。燃料は「LPガス」(OD缶)とホワイトガソリンを使うものが多く、CB缶を使う製品が出始めたころです。 当時は「キャンプといえば、ガソリンのツーバーナー」。バイクでキャンプをする人は、無鉛ガソリンを使える(バイクのタンクから燃料供給できる)コールマンのアンレデットピークワンを使っている人が多かったです。また、現在では高価で取引されている灯油バーナーが現役で売られています。
ガスランタンは、一部に自動着火装置がついたくらいの時代。そうでないものは、マッチやライターでつけていました。IP-2245やEPIのLFAランタン、3094HPAバーナーは個人的にいまも使っています。
RV主体らしく、ドライブコースガイドもあります。ルートにはダートが組み込まれています。関東近郊でもフラットダートの道はそこそこありますが、ガルヴィでは採り上げなくなって久しいです。そういうところ、走ってみたい方はどれくらいいるのでしょうね。
今も昔も悩みは変わりません。対処の方法は大きく変わりましたが。いまは機器の消費電力も少ないですしね。
当時のクルマ・バイク雑誌は、価格を一覧で掲載していました。いまの相場の半額くらいでしょうか。
そして、唐突に「移動電話」の記事。携帯電話ですね。まだ「ドコモ」もありません。価格もよ~くご覧ください。爆発的に普及するまで、ここから5~6年かかります。
創刊号の奥付です。 いまもおつきあいいただいている方のお名前もチラリと。創刊号は、バオバブストリートという編集制作会社が全面的に企画・制作したもので、1999年までその体制でした(その後、スタッフごと実業之日本社の社内へ)。多くの雑誌やムック、書籍を手がけた製作会社でした。雑誌の創刊に伴うパワーの爆発は、いま見てもまぶしいです。当時の方々がアイデアを出し、実行し、創刊したからこそ、いまのガルヴィがあります。関わった方々、ご協力くださった方々、そして支えてくださっている読者の皆様に深く感謝申し上げます。