「山を買う」? バイきんぐ西村瑞樹さんはじめ、自分だけのフィールドを手に入れた実例12。
いつからだろうか、「山を買いました!」という動画やブログが多く見られるようになった。ガルヴィの連載でおなじみのヒロシさんも山を入手してその様子を動画でアップ。やはりガルヴィで連載を持つベアーズ島田キャンプさんもそこに合流した動画をアップしたりなどしていて、それらを見ると、開拓の大変さとともに、自分だけのアウトドアフィールドを持つ喜び、楽しみがギュウギュウにつまっている。「自分も欲しい!」と思う人が急増するのも当然だ。
でも、山林は街中の不動産屋で売っているわけではない。どこで購入のアタリをつければいいのか。また、そういう扱いであるということは、住宅地とは異なる何かがあるはずだ。おそらく簡単にはいかないということが予想できる。では、実際に買った人は、どうやってそこに辿り着いたのか?
そうした実例を、ガルヴィに長年携わる栗原紀行さんが取材し、12人の実例を集めた『山を買ったぞ!キャンプするぞ!』が、7月7日ころ、発売になる。
まずは、バイきんぐの西村瑞樹さんのお話。西村さんも、ヒロシさんとのご縁でキャンプを始めた方だ。どうやって入手したか、そこで何をしているか、「山」は西村さんにとってどういう存在なのか。そんなことを存分に語っている。
続いて、11人の実例。探しに探して買った方もいれば、親族から受け継いだ方もいる。いろいろな縁から譲り受けた方もいる。森林レンタルをうまく利用している方もいる。その面積もさまざまだ。
全般に共通するのは、「イージーではない」ということだ。「山が欲しい」という方は、おそらく、何組もの友人たちとプライベートキャンプができるような広いスペースを期待するだろう。ところが、これがとても難しい。それなりの広さの「平地」は、自然にはないのだ。いかに、世の中のキャンプ場の立地がよく、また整備されているか、ということを思わされる。また、水やトイレの確保どころか、 クルマの乗りつけすら一筋縄ではいかなかったりする。 「市民農園くらいの手間」で維持できると思えそうだが、とんでもない。ゼロから農地を開拓する、というほうが近い。
皆さんが一様に口にするのは、自分が、地域にとってはよそ者であるという自覚と、その大切さ。12例のうち11例は現代のものだが、1例だけ、90年代に山を買って商業キャンプ場を成功させた、ACN信州伊那谷キャンパーズヴィレッジを鈴木道郎さんの話も、そこは共通する。
そして、維持・管理していく上での覚悟も、すべての方が認識している。住宅地では考えられないほど、山は自然災害と直結している。勝手に育って枯れてしまう(?)樹木。敷地内を流れる沢。自分の土地が原因で、他人の土地・財産を侵害してしまう可能性など、住宅地ではほぼ考えられないだろう。
いま、山は「買う」だけでなく「借りる」という方法を取ることができる。本書でもレンタルしている人の実例を掲載しているが、同時に、どういうシステムなのかも解説している。レンタルとはいえ「気軽に」とはいかないが、「買う」までは…と思っている人にはとてもいいシステムだ。ほか、実例をベースとしたコラムも充実している。
本書が説得力を持つのは、著者の栗原紀行さんが、自らも、クルマを横付けできない「裏山」でキャンプを楽しんでいるからだろう。実体験を、所有者たちと共有しつつ作り上げた『山を買ったぞ!キャンプするぞ!』は、7月7日頃発売。
■書名=山を買ったぞ!キャンプするぞ! 自分だけのアウトドアフィールド
■著者=栗原紀行
■体裁=A5判 144ページ
■定価=1760円(税込)
■発売日=2022年7月7日
■発行=実業之日本社