スムーズに火をつけるための薪を切る、割る準備
焚き火の第一段階は焚付を作り、太さ違いの薪を準備し、さらにいい状態のまま薪を保管することにある。日常生活ではほとんど使う機会のないナタや手斧、ノコギリを使う作業なので戸惑うことばかりだが、決して危険な作業ではない。刃物の安全な使い方を知る絶好の機会なので、親子で試してみよう。
①道具を知り、用意する
手斧やナタ
焚付作りに欠かせない道具。両手で振りかざす長い斧は丸太すら割れるが、市販の薪なら片手で持てる手斧やナタで十分だ。刃がある程度重いものを選べば、その重みを利用できる。ちなみに片刃よりも両刃のほうが薪割り向きとされている。
ノコギリ
焚き火台よりも長い薪を入れると、燃やしている途中で焚き火台の外にこぼれてしまう。小さな焚き火台を使うならノコギリは不可欠だ。切り口は粗くていいので、粗目の刃を選択。
ナイフ
厚めで長い刃をもつナイフ(できればフルタング)であれば、細めの針葉樹をより細かく割って焚付を作ることができる。ナタと同じで薪に刃を当て、ほかの薪でナイフの刃の背を叩けば(バトニング)いい。
②薪の特徴を知る
広葉樹
堅く、火付きが悪いけれども火持ちがいい。繊維を観察すると、密で曲がっていることもあり、小さめの手斧やナタではうまく割れないことも。1束の燃焼時間は3~4時間。
針葉樹
繊維がまっすぐで軽く、小ぶりのナタでも楽に割れる。火付きがよく、とくに杉などは樹脂を含むのでよく燃える。焚き火はじめに最適だ。1束の燃焼時間は1~2時間。
針葉樹の薪は、太めの薪の隙間に焚付向きの極細い薪が詰められている場合が多い。焚き火を始める前に、針葉樹の極細い焚付向きの薪、細めの薪、太めの薪、広葉樹の極太の薪といった具合に太さと種類をそろえたい。
暖かい季節であればそれほど神経質になる必要はないが、焚き火は最初が肝心。焚付用の細い薪と、火付きのいい針葉樹の細めの薪をたっぷり使って、十分な熱を蓄えると、火がつきにくい広葉樹の極太薪が燃焼できるようになる。堅くて火持ちがいい極太の薪が燃えれば、手をかけなくても長く焚き火を楽しめる。面倒でも細めの薪と焚付を多めに作るようにしておきたい。
TEXT/大森弘恵
PHOTO/逢坂 聡
出展/ガルヴィ2021年6月号