-20℃の極寒地で雪中キャンプを楽しむ!キャンプ場オーナーが語る強みとは?
北海道・旭川市の東隣に位置する当麻町は、小さいけれども移住者が増えている元気な町。
マイナス20℃も珍しくないこの地で、7年前からいち早く、キャンプ場の冬営業に取り組んできたのが当麻町「とうまスポーツランド」であり、その立役者がひげのガイドこと石黒康太郎さんだ。
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石黒康太郎さん
とうま振興公社代表取締役、木育マイスター。
MTB、スノーシュー、キャンプなど、自ら楽しめる企画で町を活性化している。
冬のキャンプ場を使えたらおもしろいね
「かつては10月末から4月末まですべての観光施設が閉じて、町外から遊びに来る人がほどんといませんでした。
予算をかけず、楽しめるようにしたいと考えていたころ、友人たちから冬のキャンプ場を使えたらおもしろいねと話がありまして。
試しに自分たちで遊んだところ楽しすぎる!
しかも当時、冬オープンのキャンプ場としては日本最北だったんです」
スノーキャンプに魅了された石黒さんが準備に取り掛かるも、当然、住民からは「なぜそんな時期にキャンプ?」と疑問をもたれたという。
幸いなことにキャンプ場を管理している公社と役場は柔軟な姿勢で対応。
最低限必要な予算を組み、テスト運用ではともに体験して課題の洗い出しを行うなどの協力をしてくれた。
ガイドやアウトドアショップのスタッフも手助けしてくれたという。
多くの人を巻き込む石黒さんの姿に「本気」を感じ取ったのだろう、今ではスノーキャンプを応援し、自ら楽しむ地元住人が増えているというからすごい。
雪と寒さを前向きに
さて、石黒さんがそれほどまでにスノーキャンプを推す理由は「雪と焚き火、そして寒さ」。
「焚き火で暖を取っていると光が焚き火台のそばの雪に反射してとても明るく、半面、周辺はいつもよりも暗い。
周囲と遮断されたような感覚が心地いいんです。
焚き火のはぜる音が加われば最強」と笑う。
雪は酒を冷やし、寒さは食事をおいしくするスパイス。
「焚き火で体をあたためた後に寝袋に入ってぬくぬくする瞬間が幸せな時間。
寝袋から出た鼻先だけが冷たく、その差が大きいほど楽しい」と寒さを前向きに捉えている。
これが石黒さんの強みだ。
もちろんキャンプ場運営すべてが順調というわけではない。
利用者が増えるとゴミ放置が目立ってくる。
冬は薪ストーブ利用者が多く、一酸化炭素中毒や火災も心配だ。
「周辺キャンプ場とネットワークを作り、キャンプ文化とマナーの発信を行う取り組みを考えています」
ルール、マナーというと堅苦しく聞こえるが、あくまで基本的なもの。利用者に楽しみながら自然環境を守るための意識をもってもらうのが狙い。
「ここは斜面が多いのでテントの張り方アドバイスや、木育の一環としてどんな木が火起こししやすいか、倒木などの林産物を活用したトライポッド作りなども発信したいですね」
冬のおすすめはスノーシューだ。昼間のツアーは現在も行っているが、見慣れた森を再発見するナイトハイクツアーを計画しているという。
「夜でもライトなしで歩けますが昼間ほどくっきりとは見えません。
その分、感覚が研ぎ澄まされるんです。
雪に音が吸収され、夏よりも静かで鳥が羽ばたく音や自分で雪を踏みしめる音など、普段気付かない音が聞こえます。
視線を変えればもっと自然を楽しめるんです」
うれしいことに、今シーズンもスノーキャンプのワークショップを予定。
NANGA TOHMAとの共催で夏用ギアの活用法や地元のアウトドアショップと冬のハンモック体験を検討中とのこと。
PHOTO/石黒康太郎
TEXT/大森弘恵
出典/ガルヴィ2022年12月号
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