使い勝手が良い“二輪旅キャンプ”!コンパクトに纏めたギアがポイント
山道を軽快に駆けていくオフロードバイクは自然と一体になった旅を満喫できる。
モデルの他に様々な活動をしている山下晃和さんに、そんな二輪旅の魅力を語ってもらった。
山下晃和さん
タイクーン所属のモデル。トラベルライターとして全世界を駆け巡って記事を書くことも。
自転車7台、ジムニーJB23、セロー250、パックラフト等を所有し、乗り物は一つにこだわらず旅をしてまわる。旅フェスティバルBIKE&CAMP実行委員や旅プロダクトアドバイザリーなども行っている。
www.akikazoo.net
二輪に出合ってから旅の行動範囲が拡がった
「旅」が僕の人生を形成してきたように思う。
大学生になったとき、まわりの友人のほとんどが自動二輪免許を取って、モーターサイクルを手に入れた。
その楽しそうな生活を羨望のまなざしで眺めていた。
その翌年、僕も同じように免許を取って、アルバイトでお金を貯め、オフロードバイクを手に入れた。
今までは電車でしか行けなかった場所に行く気持ちが湧いてきた。二輪の乗り物が、冒険心を芽生えさせてくれた。
そのうち、ひとりでフラッとツーリングに行くことが好きになり、目的地はどんどん遠くへ伸びていった。
最初はユースホステルを使って、宿泊していたが、安いテントを購入し、キャンプツーリング人生がスタートした。
林道を縦横無尽に走り、日本列島一周も完遂。オフロードバイクの無限の可能性を信じて、今の今まで旅してきたように思う。
そんな僕が若い頃に足繁く通っていた地が、今回の旅先である神奈川県の道志エリア。
今も昔もモーターサイクルライダーの聖地だ。
キャンプ場も数多くあり、相模湖畔からつづく道志みちを抜けると山中湖と富士山が待っている。
言うなれば、ライダーのど定番であるルートを今回走りたかったのは、自分の人生を振り返りながら、懐かしさを感じ、ヘルメットの中で思い出し笑いをしたかったから。
鳥瞰図などで見れば一目瞭然だが、道志みちは、標高を少しずつ上げ、富士山の麓まで続く道だ。都内が初夏であっても、晩春の匂いが残るワインディングロード。
その絶妙な季節のズレがあるため、キャンプには知恵を使う。軽量でコンパクトなテント、防寒着、焚き火台、温かいコーヒーを入れるためのSOTOのバーナー、コーヒーミルは欠かせないアイテムだ。
エキゾーストノートが川の流れる音にかき消されるとキャンプ地に到着。
寝床となるテントをさっと広げて、ゆっくりしよう。
二輪旅というのは孤独だ。どんなに頑張っても2人までしか乗れないし、キャンプ道具があるとひとりで精一杯。
それを短所と取るか、長所と取るか。
今の日本の社会で、ひとりっきりになれる時間なんてなかなかない。そう思うと、オフロードバイクでフラッと出かけてくるという旅は、限りある時間を100%自分だけのために使えるぜいたくな過ごし方だと言えないだろうか。
川の流れる音に、土の匂い、枝のシルエットの向こうには満天の星、焚き火の爆ぜる音、それだけだが、それがいい。
翌日、テントのジッパーを開けると、雲は多いものの雨粒は落ちていない。ラッキー。
日和見をしながらコーヒーをすすり、撤収の準備をしたら、のんびりとスロットルを開けて、走り出そう。
途中の未舗装路を楽しみながら、山梨県側へと入っていく。
富士五湖のなかでも最も東に位置する山中湖。標高が1000m前後あるため、この日はけっこう冷えた。
休憩スペースでうたた寝をしていると、いつの間にか本格的な昼寝になっていた。
オフロードバイクならではのフットワークの軽さがあるので、もうちょっとだけ高いところに上がってみよう。
夕方には雲が抜け、富士山のシルエットが薄く浮かび上がり、稜線に落ちていくオレンジ色の夕陽が見られた。
スマホを取り出すのが億劫になるほど、その美しさにしばらく見とれていた。
TEXT/山下晃和
PHOTO/逢坂 聡
出典/ガルヴィ2018年6月
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