「これなんだと思う?」ススキがキャンプで大活躍…!?このギアの正体とは?
ネイチャークラフト作家の長野修平さんが今回作ってくれたのは、ススキの卓上ほうき。
ほどよい弾力をもつススキの穂は、卓上だけでなく、テントまわりの掃除にもぴったり!
長野修平さん
ネイチャークラフト作家、野外料理人。北海道の山菜料理店生まれ。
スウェーデンのモーラナイフ公認日本・台湾アンバサダー。
著書「里山ライフのごちそう帳」(実業之日本社)他。
今回の素材 ススキ
日本全国に自生しているというススキは草葺屋根材になるカヤの仲間。
株立ちする植生が大きな特徴で、その姿が他のカヤ類との見分けの目安となる。
今回のマイツール
1年を締めくくる「ほうき作り」
裏山の草刈りはなかなか大変だ。1年で最低でも4〜5回は草刈り機と手鎌と山ノコで刈る。
すべてクリーンカットするなら、エンジン草刈り機でバサっと一掃だが、ここはそうは行かない。
活用したい野草があちこちに点在し、それを探し避けて刈るのだから。
そんな草刈りの最後の季節となるのが、薪ストーブへ火を入れる頃。
今までの野良仕事が薪作りに切り替わるタイミングだ。
このときに刈り集めるのが、今回の素材であるススキ。
師走に向けて準備する時期が、ほうきの一番作りやすいタイミングだ。
ススキの卓上ほうきの作り方
①ススキを刈り取る
開いた穂の綿毛種を手でしごいて取れやすいのが刈り時期の目安。
カマなどで長めにカットして製作段階で短く切る。今回の本数は50本。
②はかまと葉を取り除く
刈り取ったススキの茎は長さを60cmほどに揃え、1本ずつていねいに巻きついたはかまと葉を取り除く。
③タネや綿毛を取り除く
気候や採取時期で付着強度が異なる。
細い穂茎が折れないよう茎から穂先に向けて道具でスクように取り除く。
④向きを確認して束にする
ススキの穂は必ず片側へ垂れている。その向きを同じにし、穂元を揃え10本程度束ねていく。
⑤麻糸で一束目をしばる
束の穂元をしばる。巻き幅は1cm。本結びで最初と最後をしばり、糸端は束へ割り入れて隠す。
⑥少しずらして次の束を添える
次の束は穂の向きを同じ方向にし、穂元を5cmずらして添え、最初の束と合わせて糸で巻く。
⑦5・6を繰り返していく
合計で5束、5と6の作業を繰り返していく。
⑧ハンドルを2カ所ほどしばる
5束巻き終えたらハンドルも同じ要領で2カ所ほど巻いてしばる。
糸端は少し長めにカットして、束の奥へ押し込んで隠す。
⑨端を切りそろえて角を落とす
ハンドルの端は切れ味のいいナイフで真っ直ぐ断ち切り。
角は45度に切り添え、茎が引っかかったり折れたりし難いようにしておく。
⑩麻糸をよって太くする
1mの糸の中心を正面の物へ掛け、左右の指で糸端を摘みそれぞれひねる。
そのひねりの逆へ2本を回しより合わせる。2回よって4本合わせ。
⑪麻糸を取り付ける
ハンドルのエンドの糸巻きの上へ⑩の紐を串などで通す。それを結び輪にする。
⑫完成!
TEXT/長野修平
PHOTO/中里慎一郎
出典/ガルヴィ2018年12月号