「何が正解?」ベテランキャンパーが徹底解説!火おこしに便利すぎるものとは?
アウトドアに欠かすことのできない要素のひとつが火。
しかし、さまざまな点火ツールのうち、どんなものを用意していけばいいのか、選択肢がありすぎて迷ってしまう。
そこで、低山小道具研究家のモリカツこと森勝さんに解説してもらった!
森勝(もりまさる)さん
低山小道具研究家。愛称はモリカツ。
子どもの頃は秘密基地造りと探検、文具や小道具に夢中だった。
世界初や秘密という言葉に弱い。
点火ツールは3種類を準備しよう!
アウトドアのベテランが口を揃えて言うのが、「点火ツールは3種類を準備しておくこと」だ。
どんな状況でも対応できるように、予備の点火ツールを確保しておくのが鉄則なのである。
ここで、同じ規格のツールを3点用意するのはNG。
たとえば一般的な100円ライターを3個準備していたとしよう。
もし雨に降られて水浸しになったら、3個とも火花が飛ばせなくなって全滅だ。
そのためには、「点火のメカニズムが異なるツール3種類」を確保するというのが重要なのである。
まず、ひとくちにライターといってもいろいろだ。
【100円ライター】水には弱いが寒い場所でも火をおこしやすい。
【電子式ライター】操作が手軽なのが利点だが、山など気圧の低い場所では放電しにくく使い勝手が悪くなる。
【ターボライター】火力が強いのが魅力。一方でその点火機構のせいか、つきにくくなる場面が多いような気がする。
【オイルライター】構造的に風に強く屋外向きなものが多いが、やはり水に弱く、オイルの揮発も早い。
さらに、ガスライターもオイルライターも気温の低い場所では燃料が気化しにくく、着火に手間取る。
これらの長所と短所は、しっかり把握しておこう。
ここで存在感を発揮するのがマッチだ。
点火した状態で薪や燃焼促進剤に投げ入れるだけでいい。
また、アウトドア用として、どこにこすりつけても簡単に着火できるマッチや、雨のなか、さらには水中でも炎が消えないパワフルなストームマッチも商品化されている。
また、マッチもライターも水に弱いが、そんなときでもメタルマッチ、いわゆるアウトドア用の火打ち石を使えば火花をおこすことができる。
コツさえ掴めば誰でも使いこなせるので、練習しておくといい。
小型で携帯性に優れたものも数多く商品化されているので、キーホルダーにぶら下げておけば、いざというときに最後の手段として活躍してくれる。
ライター
いわゆる100円ライターや電子式ライター、パイプ用ライターなどは、コンビニで購入できる。
マイクロトーチは単なるライターの枠を超えた点火用ツール。
出力を高めればまっすぐな炎が勢いよく伸びるので、バーナーの点火に使いやすい。
タイタンライトはいわゆるオイルライターだが、ケースが防水仕様でオイルの揮発も防ぐため、ジッポーライターより長持ちする。
ジッポー愛好家のための防水ケースやジッポーのケースに差し替えて使えるターボライターもリリースされているので、好みに応じて使い分けてみるといいだろう。
マッチ
ノーマルマッチも一般的な用途には十分だが、アウトドアでは使い勝手が悪いシーンもちらほら。
そんなときには特殊加工されたマッチが役に立つ。
エニフェアマッチはマッチ箱のヤスリがなくてもどこかに擦り付ければ着火してくれる優等生。
防水マッチは水に濡れても乾燥すればふたたび着火してくれる耐久性がウリだ。
ストームマッチは一度点火したら嵐のなかでも水中でも火薬成分が燃焼し尽くすまで炎が消えないパワフルなマッチである。
メタルマッチ&ストライカー
燃料が用意されているところに火種を供給するもので、マッチやライターのように単体で炎を生み出すものではない。
そのため火を起こす手段としては最後の切り札になるが、濡れても滴を拭き取ればすぐ使えるため、いざというときに頼りになる。
モリカツが選ぶ3点はこれ!
わたしのチョイスは、オイルライターとパイプ用ガスライター、ストライカーの3種からひとつずつ。
普段のキャンプでも山歩きでも確実に持ち歩いている基本セットで、急な天候の変化にも対応できる内容になっている。
大きな火を焚きたいときには燃焼促進剤も活用すれば、ほぼあらゆるシーンに対応可能だ。
火おこしの際に活用したい燃焼促進剤
BBQの炭や焚き火の薪に火を移そうとするとき、なかなか火種が育たずにやきもきとすることが多いもの。
そんなときにスムーズな着火を促してくれるのが、燃焼促進剤だ。
スティック状やテープ状の商品が各メーカーよりリリースされているので、必要に応じて便利に使っていこう。
この燃焼促進剤は、自作することもできる。細かく千切った脱脂綿に溶かした蝋を染み込ませるだけでOK。
蝋が固まった状態で保存が可能で、これに火種を移せば一気に燃え上がってくれるので、すこぶる使い勝手がいい。
安上がりなので、ぜひチャレンジしてみてほしい。
Presented by Masaru Mori
PHOTO/M-Shibata
出典/ガルヴィ2020年12月号