【知らないと損】キャンプのプロが伝授!冬キャンプの正しい過ごし方を紹介
冬キャンプの要となるギアをどう選んだらいいのかわからないという人たちのために、アウトドアライフストア「WILD-1」の名物スタッフさんにアドバイスを頂いた。
雄鹿裕樹さん
2年前よりデックス東京ビーチ店のキャンプ担当となり、お客さまにあった道具選びを手助け。
自衛官の父親の影響で幼少期からアウトドア遊びに精通している。
テント編
■断熱性が高いのはT/C&コットン
コットンやT/C製テントは通気性に優れて涼しいイメージだが、「断熱性にも優れていて保温性もいいんです。結露もしにくいですしね」と雄鹿さん。テントに使われているコットンやT/Cは水分を含むと繊維が膨張して目が詰まるのはご存じのとおり。
そして化繊のような水滴は見えづらいが、冬は外部との温度差により結露はしている。
この水分を繊維が含み生地の目が密になる。
それに加えてテントに使われているコットンやT/Cは化繊よりも大分厚く、テント内のあたたまった空気を閉じ込めやすいのだ。
■T/C製で2ルーム的な使い方ができると最強
「やはり冬キャンプでは保温性にすぐれたテントを選びたいですよね。素材でいえばコットンやT/Cですが、スタイルは2ルームでしょうか。大型なので設営や撤収に時間がかかりますが、リビングと一体型なのはやっぱり便利です」(雄鹿さん)
厚手のコットンやT/C製テントは化繊よりも断熱性がある。
リビングと一体化した2ルームであれば隙間風が入りにくく最強だ。
ドームテントやワンポールでも大型ならリビング兼用のワンルームにできるが、リビングをとれないなら別途スクリーンテントなど全閉できるリビングが欲しいところ。
テントとリビングスペースを接続させる際は隙間風が入らないよう工夫しよう。
最後にテントを張るときに覚えておきたいTipsも紹介しておこう。
■スカートは冬キャンプのマスト機能
冷たい風や空気がテント内に侵入するのを防ぐのがテントの裾に付いたひらひらのスカート。
できるだけ冬はスカート付きを選んで。
スカートのないものはカンガルースタイルなどひと工夫で寒さに備えよう。
■凍った大地に備えて頑丈なペグを忘れずに
晴れていても気温が低いと地面がガチガチに凍っている場合がある。
テント付属のプラスチックペグや細いアルミペグでは太刀打ちできないので、スチールペグなど頑丈なペグとハンマーを忘れずに。
とくにワンポールテントなど非自立の大型タイプは必携だ。
①トリプルファスナーを搭載!
【ソロ・デュオ向け】
トリプルファスナーとなってストーブを使う際の利便性アップ。
夏は涼しく、冬は暖気を逃さず、抜群の遮光性、通気性を備えたT/C製だ。
スカート付きで、1~2人利用なら2ルーム的にも使える。
サイドフラップを別売ポールで立ち上げればさらに快適。
商品名:テンマクデザイン サーカスTC DX+
価格:4万7300円
お問い合わせ先:カンセキ WILD-1事業部
②抜群に広くて耐風性抜群
【ファミリー向け】
こだわりの素材を用いたコールマンの最高峰モデル。
広々としているうえに強度抜群なフレーム構造を採用したでっかい2ルームテントで、5~6人家族がゆっくりくつろげる。
インナーはコットン混紡素材で結露を低減するのも◎
チェア4脚とテーブルを置いてもゆとりがある。
多彩なベンチレーションで一年中快適だ。
商品名:コールマン 4Sワイド2ルームコクーンⅢ
価格:18万9800円
お問い合わせ先:コールマン
③家族が安心するロングセラー2ルーム
【ファミリー向け】
全高205cm(インナーは190cm)という圧迫感がない高さなのに風に強いフレーム構造を用いた憧れのテント。
インナーは親子4~5人で眠るのにちょうどいい広さとなっている。
商品名:スノーピーク ランドロック
価格:18万9200円
お問い合わせ先:スノーピーク
まずは寝袋選びの基本から、雄鹿さんにアドバイスしてもらおう。
「寝袋には快適に眠れる温度が記載されているので、それを目安に選んで。一概に言えませんが関東の平地はマイナス5℃、山間のキャンプ場ならマイナス10℃が目安です。形もマミー型がおすすめ」(雄鹿さん)
寝袋編
■冬キャンプの寝袋はフード必須
寝袋選びは快適温度と形状に注目だ。
封筒型は首回りから冷たい空気が入りやすいのでマミー型がベター。
ゆったりした封筒型が好みなら、フード付きのものを選ぼう。
フードがない場合はビーニー(ニット帽)で代用。
■寝袋の快適睡眠温度は足し算じゃない
寝袋があたたかいのは体温で中綿の細かな空気の層をあたためているから。
外側の生地は空気を封じ込める役割もあり、重ねても保温性は倍にならない。
■保湿力と収納性ならダウン
「ただ、いくら気温に合った寝袋でも背中側は中綿がつぶれてしまうのでマットやコットでカバーします。マット選びでは厚みというよりは、中に断熱材が入っているものが冬向き」(雄鹿さん)
マットの断熱性を示すR値が記載されているなら4以上、氷点下なら5以上のものを選びたい。
■マットのR値は足し算OK
秋キャンプ向きといわれている「R値3」のマットを2枚重ねればおおよそ「R値6」になる。
雪中キャンプでも十分対応できるマットとなるので、手持ちのマットだって組み合わせ次第で冬に使える。
■ハイコット+マットが最強
底冷えを防ぐには、体がどれだけ地面と離れるかがポイント。
かさばるけれど寒さが苦手な人は、コット(それもハイコット)とマットを組み合わせるといい。
コットの背中の下に荷物を入れる。
これだけでも冷えが抑えられる。
防水シェルが心強い!
〈快適睡眠温度−10℃〉
表生地は防水透湿性をもつオーロラライトで、高品質の中綿を湿気や濡れから守ってくれる。かみ込みにくいファスナーなど細部まで計算された寝袋だ。冬山登山にも対応する。ほかのダウン寝袋よりもゆったりめの作り。永久補償なのも魅力。
ナンガ オーロラライト900DX
6万9300円~
【問】ナンガ
2層で冬だけでなく夏キャンプにも使える
〈快適睡眠温度−12~3℃〉
メンテナンスしやすい化繊寝袋。インナーとアウター、それぞれ快適温度は−2℃と3℃。ふたつを重ねれば−12℃まで対応する寝袋セット。封筒型だがフードが付いているのもありがたい。中綿はポリエステル。
スナグパック ベースキャンプ スリープシステム
1万6500円
【問】ビッグウイング
封筒型だけどネックウォーマー付きで保温力アップ
〈快適睡眠温度−6℃〉
封筒型寝袋の“肩が寒い問題”を解消するネックウォーマー付き。初秋などはネックウォーマーを枕として使ってもいい。大型洗濯機での丸洗いにも対応しているのも高ポイント。
ロゴス 抗菌防臭丸洗いウォーマーシュラフ・−6
1万2500円
【問】ロゴスコーポレーション
極寒にも対応するR値69
寒さに弱いといわれるエアマットだが、4枚の熱反射板と、2段重ねにした三角形のバッフルによって克服。高い断熱製とわずか430gという軽さで冬の登山にも対応する。
サーマレスト ネオエアーXサーモ レギュラー
3万5200円
【問】モチヅキ
その他アイテム編
湯たんぽ
熱湯によって足やおなかをあたためるというシンプルな構造で壊れにくい。お湯を入れるもののほかに最近は充電式もあり、扱いやすいと人気になっている。
〈メリット〉
じんわりおなかや足をあたためる。一酸化炭素中毒の心配なし。ぬるま湯は洗面に使える。
〈デメリット〉
使用中の低温やけどに注意。お湯を入れる際は漏れに注意。充電式は加熱や過充電による破損ややけどの恐れがある。
電気毛布
通電することで発熱する毛布型暖房器具。体をすっぽり覆うものからひざ掛けまでサイズはいろいろ。モバイルバッテリーで利用できるものならスポーツ観戦やお花見などにも使える。
〈メリット〉
大きいサイズ、ひざ掛けなどサイズいろいろ。テント内で使っても空気を汚さない。モバイルバッテリーで使えるモノも
〈デメリット〉
使用中の低温やけどに注意。電源サイトやポータブル電源が必要。
保温ボトルに常時湯をためておく
焚き火の熱を無駄にせず湯を沸かし、保温ボトルにためておく。コーヒーや調理に使うのはもちろん、洗い物や歯磨きなどにも使えるので大きめのボトルを用意しておこう。
火のそばで過ごすなら、難燃素材のポンチョを着用
自分の好きなダウンウエアが難燃素材とは限らない。グリップスワニーほか難燃生地のポンチョをすっぽりかぶって大切なウエアを火の粉から守ろう。
かさばるコタツとホットカーペットはレンタルでもいいかも
AC電源や大容量ポータブル電源があるなら、ホットカーペットやこたつを使うのも手。どちらもかさばるので自宅のモノを持って行くよりキャンプ場でレンタルするほうが楽でいい。
燃焼器具編
薪ストーブ
ストーブ本体から出る遠赤外線の輻射熱で体を芯まであたためてくれる。テント内使用禁止だが、一部対応テントがある。使用時は燃やしすぎに注意し、一酸化炭素警報器を携行。
〈メリット〉
体を芯からあたためてくれる。調理ができるモデルも。
〈デメリット〉
テント内で使うと一酸化炭素中毒の危険あり。薪ストーブによる火災、やけどの危険あり。
ガスストーブ
カセットボンベを使う暖房器具で、製品によって室内限定、室内・屋外使用可能、屋外専用がある。どこで使うかを想定し、製品の使用条件を確認してから手に入れよう。
〈メリット〉
コテージだけでなく野外でも使えるモデルがある。燃料は手に入れやすいカセットボンベ。
〈デメリット〉
テント内で使うと一酸化炭素中毒の危険あり。
ロゴス×センゴクアラジン
ポータブル ガス ストーブ シルバークイーン
3万9800円
【問】ロゴスコーポレーション
反射型石油ストーブのようなデザインだけど燃料はカセットボンベ。放熱ネットに風防板を設置し、風に強く、弱燃焼時でも暖房能力が高いのが特徴だ。室内・屋外兼用モデル。
石油ストーブ
灯油を燃料とする屋内用の暖房器具。遠赤外線効果や燃焼効果で空気もあたためてくれる。屋外やタープ、テントでの使用は不可だが、特定テントに対応する石油ストーブもある。
〈メリット〉
コテージ全体をあたためやすい。特定テント内で使えるモデルがある。
〈デメリット〉
テント内で使うと一酸化炭素中毒の危険あり。火事、やけどの危険がある。
キャプテンスタッグ×コロナ 石油ストーブ SL-51C
3万3000円
【問】キャプテンスタッグ
新潟の2社が検証し、特定のテント(UA-47とUA-46)で使用可能に。耐震自動消火装置付きなので当然屋内でも使える。暖房目安は木造13畳。燃焼継続時間約12時間。
【ちょっとしたコツ】効率よく室内をあたためるストーブ用ファン
コテージやテントで対応ストーブを使ってもなかなかあたたかく感じないことがある。ストーブファンをストーブに載せて空気を攪拌して、あたたかい風を感じよう。
小技編
①ブランケットで簡易こたつを作る
銀マットの上にローテーブルを置き、ブランケットをかぶせるだけ。
使い捨てカイロや湯たんぽに足を置けば、電気こたつのようにはいかないが足元がじんわりあたたかい。
➁足元に台を作る
銀マットだけでは地面の冷えを感じやすい。
台を置いて冷えを遮断しよう。
③電気毛布であったか
電気毛布を広げれば効果大。
無理に折り曲げず、テーブルやチェアの脚を毛布に載せないなど、電気毛布の扱い方には十分注意して。
④空気の循環を促して結露低減
テント内の空気を循環させて結露を低減するなら小型ファンを上部ベンチレーターに向けてセット。
ストーブ対応テントの場合、ファンで上部にたまった熱を床方向に届けるという使い方もあり。
⑤子どものために夏用寝袋と組み合わせる
小柄な人や子どもは足元が冷えがちなので夏用寝袋を足元に突っ込んで調整。
夏用2枚では期待できないが、夏用の封筒型の中に5℃対応のマミー型を入れるのは“あり”だ。
⑥微妙な保温力調節は薄手ダウンで
気温に合った寝袋でも冷えそうで不安というなら、薄手のインナーダウンで保温力を調整しよう。
モンベルのインナーダウンなら襟がなく眠るときに干渉しづらい。
⑦足元の冷えはダウンソックスやスリッパで解消
首・足首・手首という3つの“首”は冷え対策の要だ。
とくに地面に近い足首は冷えやすいのでダウンソックスやレッグウオーマーで保温し、テント内ではスリッパを履いて過ごせばかなり楽。
⑧下着と靴下はウールに限る!
綿の下着や靴下は、わずかな汗でもしっとりして冷えの原因になる。
とくに靴下はいくら厚手でも綿では寒い。
速乾性の高い素材、できればウール製がベスト。
⑨靴の中の湿気を取り除く
1日中履いた靴には湿気がこもっている。
そのままにしておくと冷え冷えになるので乾燥剤を忍ばせてテント内で保管。
履く前に中敷きを寝袋に入れてあたためることも忘れずに。
⑩トウガラシパワーで足元ポカポカ
トウガラシの成分、カプサイシンは皮膚の表面温度を1~2℃上げることができるそう。
古典的だけれど、靴や靴下の中にトウガラシを入れることで足がポカポカ。
⑪寝袋の足元に詰め物、靴下は脱ぐか履き替えて
寝るときに足が冷えるなら、足元に詰め物をして対策する。
また、きつい靴下は冷えの原因になる。
靴下を脱ぐか、ゆるめの靴下に履き替えて眠ろう。
⑫ブランケットで背中~足首の風を遮る
焚き火はあたたかいけれど、火の当たらない背中や足首は冷たい。
大きめのブランケットで体をくるむか、地面に届くようブランケットを掛けておくとずいぶん楽になる。
⑬風防幕で焚き火の熱を自分側に反射
焚き火台の周りに幕を張っておけば、焚き火の熱が反射してほんのりあたたかい。
ただし焚き火のそばなので、張り綱に引っかかって転ばないよう十分注意して。
⑭薪を乾かしながら風を遮る
薪を積み重ねて壁を作るというブッシュクラフターの間で知られた技がある。
風防幕と同じ効果があるほか、焚き火の熱で薪が乾燥しやすくなるとか。
⑮石油ストーブ対応テントが最高
「石油ストーブ SL-51C」は「CSクラシックス ワンポールテント DXオクタゴン460UV(UA-47)」の床を取り外した状態で使用可能。
外の寒さとは無縁のあたたかな空間の完成だ。
がたついた場所や傾斜地でのストーブ使用は厳禁だ。
傾斜してないか、水平器で確認するようにしよう。
ストーブの上は熱くなっている。
ケトルやシェラカップを置いてあたため直しOK。
比較的広い空間をあたためられる対流型ストーブ。
一酸化炭素警報器を携行し、定期的な換気を。
雪中キャンプができる!おすすめキャンプ場
①スノーキャンプサイト(とうま山キャンプ場/北海道)
−20℃は当たり前! 極寒だけど心地いい
1m以上の積雪は当たり前の極寒の地、当麻町にあるキャンプ場。斜面が急でクルマの横付けはできないがふかふかの雪の森でキャンプができる。ベテランガイドが管理しており、冬キャンプのワークショップや冬のハンモック泊イベントなども予定している。有料だがスノーシューツアーは雪の森を再発見すること間違いなし。
スノーキャンプサイト(とうま山キャンプ場)北海道上川郡当麻町市街6区 ℡.0166-56-9020
➁RV RESORT 猪苗代湖モビレージ(福島県)
コテージも完備する雪中キャンプの定番フィールド
50年以上の歴史をもつ老舗で、冬も元気に営業中。年越しキャンプの聖地でもある。美しい猪苗代湖と磐梯山を望むキャンプサイトだけでなくコテージも点在しているので、テント泊が不安ならこちらを利用してみては。炊事場で温水を使えるなど長期滞在も苦にならない。近隣でスキーやスノーシューができるのもポイントだ。
RV RESORT 猪苗代湖モビレージ福島県会津若松市湊町大字赤井字笹山原408℡0242-94-2052
③ACNあさまの森オートキャンプ場(長野県)
スキー場のすぐそばに広がる雪の森
スキー場が広がる高峰山の中腹に位置するオートキャンプ場で標高1100m。その年によって異なるが、12月は葉っぱが落ちた森で日だまりが心地よい日が多く、1月に入ると雪景色に変身する。冬の炊事棟は温水利用OK、周辺の温泉割引券配布など、雪の森でのんびりくつろぎたい人にぴったりだ。
ACNあさまの森オートキャンプ場長野県小諸市菱平535-1℡.0267-25-2977(予約はWEBで)
④クヌギの森☆ウインターキャンプフィールド(滋賀県)
中級者以上限定の極上キャンプ場
赤坂山の山麓に広がるマキノ高原は、夏はキャンプ場、冬は関西スキー場きっての老舗「マキノ高原ファミリースキー場」で積雪は申し分なし。12月下旬~2月の期間限定では完全予約制(限定20組)で林間サイトを開放しておりスノーキャンプを満喫できる。スキー&キャンプを楽しめる格好のフィールドだ。
クヌギの森☆ウインターキャンプフィールド滋賀県高島市マキノ町牧野931マキノ高原キャンプ場℡0740-27-0936
⑤大鬼谷オートキャンプ場(広島県)
かまくら作りイベントが楽しみ
年末には雪が降り、1m以上の積雪となるので西日本では珍しい雪中キャンプができる! 30人以上が入れるビッグなかまくら作りイベント、場内の斜面でそり遊びを楽しんだら、場内の露天風呂(休止の場合あり)で汗を流せるのもオツ。オートキャンプサイトのほかに、ツリーハウスやログハウスもスタンバイしている。
大鬼谷オートキャンプ場広島県庄原市高野町南257
℡.0824-86-2323WILD-1デックス東京ビーチ店
東京都港区台場1丁目6-1
デックス東京ビーチ・アイランドモール5階
℡.03-3599-5311
https://www.wild1.co.jp/shop/dc_tokyo_bc/
都心にありながら大型テントを数張り常設する広さが自慢。
スタッフの知識が豊富でギアやフィールド選びの参考になる。店舗限定アイテムを探すのも楽しみだ。