【まとめ記事】絶対知っておきたい!焚き火のトラブル回避術。いざというときの対処法は?
焚き火は楽しいが、ルールやマナーを知らないとトラブルの元になる。
また、ひとつ間違えると、大きな事故につながる恐れがある。
そこで、事故やトラブルを避けるためにどういうことに気を付けるべきか、きちんと知っておこう。
キャンプ場に聞いた焚き火のトラブル例
全国の有名キャンプ場に焚き火が原因で起こったトラブルについて取材。
そのときの状況やどのように対処・解決したのかを聞いてみたので、自分が同じことをやってしまわないように、参考にしてほしい。
芝生や草地が焦げたらあとが大変
焚き火のトラブルと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、芝生や草地サイトの焼損。
こぼれ落ちた薪の燃えかすで芝生が焦げた、というよくある例から、「脚を畳んだまま焚き火台を使ったことで芝生が焦げた」(三重県・Aキャンプ場)、「直火によって芝生が枯れてしまった」(千葉県・成田ゆめ牧場ファミリーオートキャンプ場)といった例もある。
キャンプ中にそのような焚き火をしているキャンパーがいれば、その場で注意することもできるが、大半はチェックアウト後に気づくことが多いようだ。
そのような場合は、次に使うキャンパーが不快な思いをしないために「焦げが薄ければ排除し、厚い場合は掘り返して新しい土を入れる」(長野県・ACN信州伊那谷キャンパーズヴィレッジ)、「焦げ跡がひどければ砂をまく」(新潟県・Bキャンプ場)、「毎年予算を確保して芝生を補植」(茨城県・大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ)などの改修を行っているという。
キャンプ場に余計な負担をかけないためにも、火の取り扱いには十分に気を付けよう。
意外と多い!?ウッドデッキの火災
意外と多くて驚いたのが、コテージやキャビンなどのウッドデッキで焚き火をして、デッキを焦がすというトラブル。
「焚き火台の下に敷いたプレートの形に焦げ跡が付いた」(広島県・ACN大鬼谷オートキャンプ場)や「放置した焚き火が擬木デッキに引火。消火器で迅速に消火した」(栃木県・サンタヒルズ)といったもの。
「キャビンのウッドデッキは焚き火禁止にもかかわらず、焚き火をしている方がいらっしゃった。お客さまは焚き火を放置して建物に入っており、隣のお客さまが連絡してくれていなかったら火事になっていたと思う」(香川県・国営讃岐まんのう公園オートキャンプ場「ホッ!とステイまんのう」)という、驚きの大火災寸前トラブルも。
キャンプ場の対応は当事者に厳重注意する、デッキ板の張り替え代金を請求するなどさまざまだ。
火の粉や燃えカスの放置でボヤ騒ぎに
キャンプ場でボヤ騒ぎなんて、あまりないのではと思われがちだが、実際に多くのキャンプ場で起きているトラブルだ。
「火の粉が飛んで枯草に火が燃え移ってボヤ騒ぎに。消火器にて鎮火」(山梨県・Cキャンプ場)や「火の粉が落ち葉へ引火して、コテージ下に回り危うく火事に。消火器で鎮火できて救われた」(栃木県・サンタヒルズ)といった火の粉が原因のトラブルが発生している。
「お客さまが完全に消火されていない焚き火後の薪をサイト内に放置してチェックアウト。ほかのお客さまの通報により緑地が焦げていることが判明」(福島県・ふくしま県民の森フォレストパークあだたら)という、焚き火の処理方法を知らなかったことが原因のボヤもある。
大きな火事にならないよう、周囲に燃えやすいものがないかを確認することや、焚き火のマナーを知っておくことが重要だ。
コントロールできる範囲で焚き火を楽しもう
気分が盛り上がったり、ちょっと寒いなと思ったりしたときに、つい大きな炎で焚き火を楽しんでしまいがちだが、火の粉を飛散させてしまったり、手に負えないほどの炎になってしまう危険性がある。
決して必要以上に大きな炎をおこさず、自分でコントロールできる範囲で焚き火を楽しむようにしたい。
大きな炎にしないためには、薪を無闇に入れないこと。
燃料となる薪が多いほど、炎も大きくなってしまう。
ちなみにコントロールできる炎とは、薪を動かすだけで火力が調節できるくらいが目安と考えておこう。
薪の組み方で炎の大きさは変わる?
薪の組み方によっても、炎の上がり方が変わってくることを覚えておこう。
炎の特長を知っておけば、火の大きさだけでなく、火の粉の飛散を抑えることもできる。
井桁型、合掌型、並列型の3タイプの焚き火を比較してみた。
「井桁型」はすぐに火が立ち上って大きくなった。
「合掌型」は薪に着火するまでに時間がかかったが、火がつくと大きな炎が上がった。
「並列型」は大きな炎が上がることなく、終始穏やかに燃え続けた。
キャンプでの焚き火は「並列型」が安心だ。
しかし油断は禁物。万が一、炎が大きくなってしまったときに備えて、消火できるように水などをきちんと準備をしておこう。
3つの方法で大きな炎を消火してみた!
「急に風が強くなってきた」「火が大きくなりそう」というときに、どんな方法で消火すればいいのか?
消火に適しているといわれる3つの方法で焚き火を消火し、消火しやすさや消火具合などを検証してみた。
①バケツの砂で消火
15ℓのバケツに8分目の砂を入れて消火に挑戦。持ち上げるとかなり重量感がある。
投げかけるのは大変!
重い砂を投げるようにしてかけるのは難しく、上からかけるような形になってしまった。
ボリュームのある砂が炎にのり、一瞬で消火完了。ただし、しばらくは煙が漏れ出ていた。
〈結果〉
重いので、上からかけるような感じになってしまった。
しかし、まとまった砂が一気にかかって酸素が断たれ、思った以上にスマートに火が消えた。
②バケツの水で消火
15ℓのバケツに8分目の水を入れて消火。持ち上げた印象は、砂に比べると少し軽い感じ。
意外と投げかけは簡単。
砂のときより火から離れた位置で投げかけることができたので、恐怖感は少なかった。
消火後は火がくすぶることなく見事に鎮火。ただし煙はモクモクで、焼け残りも散乱した。
〈結果〉
1杯の水だけで消火できるのかどうか不安だったが、しっかり消すことができた。
ただ消火後に煙が出るので、周囲に迷惑をかけることになるかもしれない。
③消火クロスで消火
初期消火用のガラス繊維製の消火クロスでチャレンジ。サイズは100×100cm。
広げて炎に近づいてクロスをかぶせなければならないので、3つのなかではいちばん怖い。
密閉が消火の条件。酸素を断つために隙間なくかぶせる。
クロスが燃えることはないが表面は多少焦げてきた。
〈結果〉
10分後、火は消えていたがクロスを外してしばらくすると再発火した。
完全消火には長時間かぶせっぱなしにしておくか、種火を水で消す必要がある。
他にもある焚き火の注意点
火の粉や煙、大きな炎に気をつけたいが、他にも注意したいことがたくさんある。
そのなかでも、ついやってしまいがちなことを挙げてみたので、次回のキャンプの参考にしてほしい。
1.つまずいて焚き火に転倒
焚き火は炎が明るくて、その周辺は真っ暗に見えてしまう。
だから足元に薪の束などを置いておくと、見えずにつまずいて転ぶこともある。
転んだ先に焚き火台があったら、大変なことになってしまう。
とくに小さな子どもやお酒に酔った人は、注意力が足りないのでつまずきやすい。
大惨事にならないためにも、焚き火の近くには小型のLEDランタンを置き、足元を明るくするようにしよう。
ランタンなし
焚き火の明かりだけなので足元は真っ暗。モノがあってもわからない。
ランタンあり
ランタンで足元が明るくなるので、モノがあれば気づくことができる。
2.チューブタイプの着火剤追加は絶対NG
なかなか薪に火が付かないからと、チューブタイプの着火剤を直接焚き火に追加すると、着火剤を伝って手元に火が来てヤケドをする恐れがある。
それがウエアに引火したら大惨事だ。絶対に行わないこと。
3.ガソリンを着火剤にするのは厳禁
その昔、ホワイトガソリンを着火剤代わりにするといった「裏ワザ」が散見したが、ガソリンは少量でも火柱が大きく上がる。
また撒く時に霧状になると爆発してとてもキケンだ。
水では消火ができないので、大きな炎になると手が付けられない。
大事故にもつながるので絶対に行わないようにしよう。
万が一の焚き火トラブルに備えて短期保険を活用しよう
気をつけて焚き火をしていても、事故を起こしてしまうこともある。
そんなときのために、キャンプ向きの短期保険に加入するというのもひとつの方法だ。
スマホやネットで簡単に契約ができるので、出かける直前でもOK。
焚き火の火の粉でキャンプ用品に穴をあけてしまっても補償してくれる。
ほかのキャンパーのテントやタープに穴をあけてしまっても補償してくれるというのがありがたい。
もちろん焚き火によるものばかりではなく、キャンプ中のケガなども補償してくれる。
さまざまな保険があるので、内容を確認して検討してみよう。
三井住友海上「1DAYレジャー保険」
https://www.ms-ins.com/personal/travel/oneday/
ケガや賠償責任など、キャンプ中のもしもに対応する。
ドコモ、au、ソフトバンクのスマホから、24時間365日申し込むことができ、保険料は携帯電話料金と一緒に請求される。
ハイキング・軽登山向けプランやレジャー全般プランもある。
AIほけん「アウトドア保険」
https://ai.hoken-docomo.jp/lp/outdoor/
カジュアルな自然遊びから、本格的なアウトドアまで、自分にあったプランが選べる。
プランは「ライトプラン」、「スタンダードプラン」、「プレミアムプラン」がある。
チューリッヒ少額短期保険「ミニケアキャンプ保険」
https://www.zurichssi.co.jp/camp/
キャンプ中のケガやレンタル用品の破損、まわりのキャンパーにケガをさせてしまったなどを補償してくれる。
保険料は、キャンプに行く日数によって細かく設定されている。
PHOTO/佐藤弘樹
TEXT/牛島義之
出典/ガルヴィ2021年12月号