「釣り人が増えたら魚も増えた!?」その意外すぎる実態とは…?
ルアーフィッシングに精通した、ベテランアングラーの佐藤直樹さん。
その佐藤さんが今回教えてくれるのが、釣りを観光資源として活かす河川の取り組み。
釣り人が増えたことで魚も増えるという意外な側面も教えてくれた。
※2022年の記事に基づいています。現在の状況が当時と異なっている場合があります。
佐藤直樹さん
1980年生まれ、横浜在住。幼少期に釣りの魅力に取り憑かれ、海・川・湖問わず、水辺を見ると本能が疼く。
釣りの楽しさや感動を伝えることに喜びを感じている。
DUOソルトプロスタッフ、PAZDESIGNテスター、MAGBITEフィールドテスターを務める。
管理することで活きる河川
私の住む神奈川の西部に早川という川があります。
早川河川漁業協同組合が管理し、積極的にアユやヤマメ、ニジマスの放流を行っています。
釣り人口を増加させることに積極的な珍しい河川です。
渓流釣りが盛り上がる3〜5月末までは、キャッチ&リリース区間を設置し、その区間に大型魚を放流。
天然の管理釣り場のように楽しめます。
渓流魚は食べておいしい魚です。
釣って持ち帰る人も多く、初期に数多くの魚が釣られれば、後半につれて魚の数は少なくなります。
結果、釣り人も減るという課題点が、これまではありました。
そこで、キャッチ&リリース区間の設置です。
魚と釣り人を維持すれば、長い期間、「遊漁券」という漁協にとって、貴重な収入となります。
その収入は、管理費や放流資金にあてられるため、さらなる魚の維持につながる、という仕組みです。
そして6月になれば、鮎釣りが解禁となり、大きな盛り上がりを見せます。
渓流魚が減っても、アユが売り上げを立ててくれるため、遊漁料は落ちません。
このように河川を管理することで、釣り場として釣り人を呼ぶことができ、また、釣りを観光資源として活かすことができています。
早川は、そんなビジネスモデルができている河川といえます。
釣り人が増えると魚が増える
早川は、努力のかいがあって、釣り人が増えています。
でも釣り人が増えたら、やっぱり魚は減るのでは? と思ったのですが、釣り人が河川にいることで、鵜(カワウ)の被害が減ったそうです。
渓流魚が食べる鮎や、釣り人が釣る鮎の量よりも、はるかに鵜が食べる鮎の量のほうが多く(1羽につき1日あたり500gのエサを食べると推定されている)、鵜の被害は度々ニュースで取り上げられるほど、深刻な川もあります。
そんななか、釣り人が増えることで天敵の鵜が減って、魚たちにとっていい環境ができているようです。
出典/ガルヴィ2022年8月号