「これなんだと思う?」愛用のキャンプギアをさらに素敵にする方法!?
愛用するキャンプギアには自分なりの目印をつけたくなるもの。そのひとつの方法が「焼き印」だ。
しかし、ハードルが高そうと思っている人も多いのではないだろうか。
そこで、ネイチャークラフト作家の長野修平さんが焼き印の作り方を教えてくれた!
長野修平さん
ネイチャークラフト作家、野外料理人。北海道の山菜料理店生まれ。
スウェーデンのモーラナイフ公認日本・台湾アンバサダー。
著書『里山ライフのごちそう帖』(実業之日本社)ほか。
■今回の素材
①ハンドルは硬く湿気にも強い5cm径ほどのヒノキの小丸太を使った。
②全ネジ棒(太さ6mm、ネジ山ピッチは一般的な1mm)は1mで売ってるものを金切りノコギリで切って使用。
③真ちゅう2cm角×5cm長のブロックはネットで購入した。
■今回のツール
①ハンドルを荒削りする斧。これは木工用のカルソフ(スウェーデン)。
②シルキーのポケットボーイ小型折り込み式ノコギリ。アサリがなく押し引き双方でスパッと切れる。
③モーラナイフクラフトシリーズのロバストは両刃で刃厚もある万能クラフトナイフ。
④ネジ穴へネジの山を削る道具。全ネジ棒のサイズに合わせた6M1.0サイズのネジ山タップとそれを取り付けるT字のホルダー。
⑤真ちゅうと木にネジの下穴をあけるブラックアンドデッカーGoPakドリルドライバーと金属用ドリルビット(5mm穴)。
⑥真ちゅうに印版の凹を削るための道具。電動ルーターと着脱する真ちゅう対応替え刃のハイスビット(10種セット)。
⑦真ちゅうへ下書きを写す細身のカッター。
⑧替え刃式の金属用ノコギリ。
■今回の完成品
■作り方
①真ちゅうに型紙を写す
紙に描いた印の絵をスキャニングしてパソコンで反転。
焼き印に仕上げる真ちゅうも準備し、まずは彫るためのガイドラインを写す。
2cm角の真ちゅうブロック棒を万力で固定し1.5cm厚のパーツを切り出す。
フレームタイプの金属用ノコギリの刃は引き切り方向で内向きに付け、フレームの重さを活かしつつ切る。
彫る面を金属用のサンドペーパー1000番で磨き、木工用ボンドを塗って型紙を貼る。
アウトラインに沿ってカッターで切るように線を描く。
カッターで切り線を入れ終えたら型紙を水で濡らしつつきれいに剥がす。
切り線を油性ペンでなぞり、乾く前にティッシュで拭くとラインが薄黒く浮かび見えやすくなった。
②真ちゅうを削る
カッターで描いた印影部分の外側をすべて削る。10種のハイスビットから適宜削りやすいものを選んで付け替えつつ削り彫り上げる。
まずは線のアウトラインから削る。一番薄い平型のビットで細いラインを1mmほどの深さで削る。
続いて少し厚めの平型ビットで細いラインの幅を広げつつ深さも徐々につけていく。
この段階の作業は印影のアウトラインになるので慎重にやろう。
アウトラインの外側すべてを削っていく。
円筒型のビットでアウトラインの削り深さよりやや深くなるイメージでゆっくりと削り取っていく。
印影となる帽子の下側空きスペースは、押印した際に木や革などの素材へ触れていたり熱が伝わったりして焦げ跡が写りやすい。
縁が5mmほど深くなるまで削る。
③真ちゅうにネジ穴をあける
彫り終えた真ちゅうの焼き印ヘッドの裏へボルトをねじ止めるためのネジ穴をあける。
ヘッド裏を上にして万力で固定。6mmのネジ穴を7mm深であける。
下穴として5mmのドリルビットを電動ドリルに付け、7mm深の位置へマスキングテープで印をして穴あけ。
下穴の中にネジ山を切る。6M1.0のタップをT字ホルダーへ付け、下穴にねじ込む。
手にかすかな抵抗が伝わったら底まで切れた証拠。止めて慎重に逆回しして抜きネジ穴の完成。
④ヒノキで作ったハンドルにネジ穴をあける
ヒノキの小丸太を斧とナイフで削って好みの形のハンドルを削り出し、印側へネジ穴をあける。
小丸太の節跡の少ない部分を選び、まずは斧で1カ所を平らに削る。
その裏側を削って残った皮目を2面で削ると6角柱に。長さ10cmほどで切り、最後にナイフで角の面取りをする。
ハンドルの印側の芯へネジ穴の下穴をあける。
この後のねじ切りとともに手順は真ちゅうと同じだが、強度が劣る木製なので深さは2.5cmに。
⑤ハンドルと焼き印を組み合わせて完成!
全ネジは1mを4等分にした25cmで切断。
切断面にできるバリを金属用サンドベーパーで取り、ハンドルと焼き印ヘッドを全ネジでつないだら完成。
早速、SOTOのバーナーで試し焼き。2分ほどで木に押せる温度になる。
革へは温度が下がってから。柄を長めに製作したのでフィールドでは焚き火でも熱せられる。
TEXT/長野修平
PHOTO/鈴木優太
出典/ガルヴィ2022年6月号