絶対に知っておくべき!失敗しないナイフの正しい使い方が天才すぎた…!
アウトドアの重要なパートナーといえるのがナイフ。
近年、デザイン性は飛躍的に向上し、新素材の採用や設計技術の向上のおかげで選択肢が増えた。
そこで低山小道具研究家のモリカツこと森勝さんに、ナイフがどのように進化してきたかを教えてもらおう。
森勝(もりまさる)さん
低山小道具研究家。愛称はモリカツ。子どもの頃は秘密基地造りと探検、文具や小道具に夢中だった。
世界初や秘密という言葉に弱い。
近年のナイフ事情
アウトドアにおけるナイフの立ち位置は、マルチである。
薪の切断や草刈り、綱引きロープなどの切断、地面を掘り返すスコップの代わりに用いたり、調理器具としても活躍する。
しかしそのナイフのありようが、近年は次第に変化してきている。
いまやナイフの出番といえば、袋の開封、ゴミの裁断などがメインで、荒仕事が期待される場面はほぼない。
そのため、次第に小型で軽量なナイフが好まれるようになってきた。
サイズだけではない。ハンドル部に使用される素材やデザインにも時流がある。
初期のナイフは真鍮とウッドを組み合わせたハンドルが主流で、そのため重量感があった。
近年ではガラス繊維強化ナイロンなどがハンドル素材に用いられた軽量小型ナイフが人気を博している。
こうした機能面、設計面での進化が著しい一方、デザイン面では趣味性を反映する形で、懐古趣味的な流行も見られる。
既製品のハンドル部だけを取り替えられるオプションパーツも充実してきている。
過去30年のナイフ進化論
多くの日本人にとって、ナイフといえば「刃物」というイメージが先行するだろう。
しかしアメリカなどでは、ナイフは多用途に用いられるツールだ。
その多機能ぶりを体現した形のナイフが国内で浸透し、それが再びシンプルな用途に戻りつつある過程を、過去30年のナイフの流行から追いかけてみよう。
①ベーシックスタイル
板材から刃を削り出し、これに真鍮とウッド素材のハンドルを組み合わせたもの。
重量感があり、堅い素材も切断しやすい。
②新素材の採用
2000年頃からガラス繊維にエポキシ樹脂を染み込ませ、高熱高圧で硬化させたG10などがハンドル素材に採用。
③ハイテク素材化
2010年代中期、ハンドル部にチタンやカーボン繊維などが採用され、強度と軽量化の両立が進んでいった。
④軽量化&小型化
2010年代後半、FRNなどの素材で軽量化が進むと同時に小型ブレードが次第に主流になっていく。
⑤デザイン回帰
キャンバス、リネン、合板などを重ね合わせ樹脂で固めたもの。80年近い歴史ある素材だが、近年の流行に。
モリカツ愛用のナイフはこれ!
わたしは多用途に使えるナイフが好みなので、ベンチメイドのミニプレシディオ2を愛用している。
セレーションで雑草の刈り取りも容易で、ブレードの背に角度があるので簡単な整地作業にも使える万能型だ。
モリカツ流ナイフの使い方
平坦地に生い茂る雑草を刈りそろえたり、枝木の剪定など。ナイフがもっとも活躍するシーンといえるだろう。
テーブルのガタツキを抑え水平をきちんと維持したいとき、足元で高くなってしまっている部分をナイフで掘り返して調節する。
シャープナーも高機能化&ポータブル
ナイフの切れ味を維持するためには、手入れも欠かせない。
しかし多くの人は刃の研ぎ方を難しく考えている。ここでは失敗しない研ぎ方のコツを紹介しよう。
①研ぎたい部分にマジックで色をつけておくと、研ぎ終わった場所が確認しやすくなる。
②プレシジョンは刃を研ぐ角度を固定できるので便利だ。
③刃を念入りに研ぐ必要はなく、数回さっと撫でる程度で切れ味が復活する。
フィールドシャープナーでも同じこと。
④研ぎ作業の終わったナイフ。慣れてくればほんの10秒の作業だ。
Presented by Masaru Mori
PHOTO/Masatoshi Shibata
出典/ガルヴィ2022年6月号