上級キャンパーが焚き火のやり方をやさしく解説!焚き火とソロストーブの手順のコツとは?
二次燃焼ストーブの元祖的存在「ソロストーブ」。
いつもの焚き火とソロストーブでは火起こしの手順は異なるのだろうか?
焚き火にもソロストーブにも詳しい長野修平さんに検証してもらった!
長野修平さん
ネイチャークラフト作家でありアウトドア料理人。
北海道の山菜料理店に生まれ、東京・銀座の日本料理店で修業。
その経験をいかした焚き火料理に定評がある。モーラナイフ公認アンバサダーでもある。
焚火の火起こし
①焚き付けと太さ違いの薪を用意
焚き付け用の樹皮や小枝、白樺の樹皮と麻ひもなどを用意。
細い薪から中太、極太の薪へと太さ違いの薪を並べておくと薪をくべやすい。
焚き火スペースでは、あらかじめ焚き付けの上に細い薪を円錐状に組んでおこう。
②樹皮を薄くはぐ
白樺の樹皮をナイフの背で削ぎ、細かな粉や薄皮にしておく。
これを広めの樹皮に載せて着火剤替わりにする。
白樺の樹皮がなければほぐした麻ひもを大きな枯れ葉や針葉樹の皮に載せてもいい。
③ほぐした麻ひもと②に着火
①で小枝と細い薪を円錐状に組んだそばで、白樺の樹皮や麻ひもに火をつける。
長野さんはファイヤースターターを使っているが、持っていなければマッチやライターで火をつけてももちろん問題なし。
④円錐に組んだ小枝と細い薪の中に③を入れる
細い薪を崩さないよう、内側に③の種火をそっと差し込む。
風向きを考え、風下側から差し込むと熱が飛ばされにくくなり立ち消えしづらくなる。
あとは状況に応じて燃えやすい乾いた小枝を追加していこう。
⑤細い薪が熾火になったら少しずつ太い薪をくべていく
最初に組んでいた細い薪に火がつき、白い灰に覆われはじめたら、少しずつ太めの薪をくべていく。
次にくべる予定の薪を焚き火のそばに並べ、乾かしておくこともポイント。
⑥太い薪が熾火になるまで待つ
ある程度の太さの薪に火がつき、安定したら本命の広葉樹の極太薪を1本追加しておく。
極太薪の一部が灰をかぶって熾きになるまで、中太や太目の薪を適宜追加しつつ気長に待とう。
⑦調理向きの火ができた!
極太薪の1面が灰に覆われ、周囲にもたっぷりの熾きができた。
ここまでくれば途中で火が弱まることもなく、落ち着いて調理を進められる。
■焚き火の火加減はどう変える?
薪を高く組めば炎は集中して高くあがり、平らに並べると低く広く熱が回る。
この性質を利用して薪を組み替えるのが道具を使わないスタンダードな火加減。
トライポッドを利用して焚き火との距離を調整してもいい。
ソロストーブの火起こし
ソロストーブ ボンファイヤーキット 2.0
4万9500円
いち早く二次燃焼ストーブ開発に取り組んだソロストーブは灰による目詰まりが少なく扱いやすいという特徴をもつ。
ボンファイヤーは大人数で炎を囲める大きさと持ち運びやすさを両立した人気モデル。
①火口(ほくち)と焚き付けを準備
着火しやすい二次燃焼ストーブであっても、火口と焚き付けは不可欠だ。
ここでは小枝と、油を拭き取った後のエイアンドエフ「キャンプキッチンクロス」を用意してみた。
薪は適当に拾ってきたモノで大丈夫。
②火口に火をつける
「キャンプキッチンクロス」を細く裂いて、薪から剥ぎ取った樹皮の上に載せて着火する。
「キャンプキッチンクロス」はレーヨンとパルプからできていて燃やしてもイヤなにおいはないので安心して使える。
③ソロストーブの底に②を置く
ソロストーブの底に火をつけた「キャンプキッチンクロス」を置き、その上や周辺に小枝や細い薪をたっぷり入れていく。
焚き火のように円錐や井桁状に薪を組む必要はない。
④空気を塞がないよう薪を立てる
ある程度細い薪を入れて炎が上がったら、空気を塞がないよう長めの薪を壁に立てかけるように置いていく。
湿った薪は半分に折ると乾いた芯がむき出しになる。この芯を下にして投入するのがコツ。
⑤薪に火がついたら調理スタート
ストーブ上部の穴から熱風が噴き出し、煙やにおいがないクリーンな炎があがったら調理をはじめよう。
ソロストーブはほかの二次燃焼ストーブよりも灰が詰まりにくい。
これも手間がかからないと言われるゆえんだ。
ソロストーブのここがイイ!
「いつもの焚き火では火がついても面倒をみないと立ち消えすることがあります。でも、ソロストーブなら底に種火を置いたら薪を立たせるようにポンポン置いていくだけ。ほぼ火を育てる必要はありません。つきっきりにならなくてよく、ほかのことができるのでワークショップでは本当に助かってます」(長野さん)
焚き火では焚き付けとなる小枝や樹皮をたっぷり用意して、薪の乾燥具合や風向きによって追加する量やタイミング、追加する位置を変えていく。
ソロストーブであれば焚き付けの量こそ多めにセットしておくも、いきなり中太や太い薪も投入している。この差は大きい。
なお、小型の二次燃焼ストーブでは、ストーブいっぱいに薪を詰め、上に種火を載せて着火することが多い。
手間なく確実に着火できる優秀な手法だが、ボンファイヤーほど大きいと薪をいっぱい詰めるのは大変だし、火力が上がりすぎて扱いづらい。
二次燃焼ストーブの性格によって着火方法を使い分けよう。
■ソロストーブの火加減はどう変える?
薪が内部で片寄るなど様々な要因により、どうしても炎にムラがでてしまう。
その場合、中の薪をいじるよりも少し飛び出すくらいの長い薪を使って炎を誘導するほうが安全だ。
サブ焚き火台を用意しておきソロストーブから薪を取りだして弱火に。
強火にしたいときは新たに細めの薪を投入するだけでいいが、サブ焚き火台の立ち消えした薪を使えば素早く火力アップ。
■鉄鍋やグリドルと相性よし
高火力を受け止めじんわり熱を伝える鉄の調理器具と相性がいい。
専用ゴトク「ボンファイヤーハブ」はロッジ「クックイット オール 14インチ」など直径35cm程度の鉄鍋がすっぽり入る。
出典/ガルビィ2024年10月号