メッキと塗装は何が違うの?調理器具の表面加工をキャプテンスタッグに教えてもらった!
調理器具選びで今ひとつよくわからないのが表面加工の違い。
加工の種類によって手入れや耐久性に違いはある? 劣化したまま使うと危険?
そこらへんのことをキャプテンスタッグに教えてもらった。
キャプテンスタッグ
1967年、新潟・三条市で設立されたパール金属が前身。
1975年にアメリカの市場調査に出かけた際に見たバーベキュースタイルを日本で再現しようと開発したコンロがアウトドア製品第一号。
2012年にキャプテンスタッグとして独立。
加工の種類と特徴
【酸化皮膜】アルマイト
アルミ角型クッカー 3080円
電解液に入れたアルミニウムに電気を流すことで丈夫な酸化皮膜を形成するのがアルマイト加工。
薄く、軽いアルミ鍋の耐食性や耐摩耗性を向上させ、長期間にわたって使用することが可能となる。
酸性やアルカリ性の強い食材にはやや不向き。
【酸化皮膜】硬質アルマイト
アルミ角型メスティン(ブラック) 4180円
通常のアルマイト加工に比べて低温で加工することでアルマイトの皮膜を倍以上厚くしたのが硬質アルマイト。
耐食性も通常のアルマイト加工よりすぐれている。
【焼成】ほうろう
ホーローコーヒーポット(ホワイト) 5500円
金属(おもに鉄)表面にガラス質の釉薬をかけて高温で焼き付ける。
汚れや焦げ、においがつきにくく、酸やアルカリにも強いため調理した鍋に料理を入れたまま一時保存も可能だ。
キャンプ用の食器や鍋もあるが、ガラス質は衝撃に弱いので運搬には注意が必要。
【焼成】フッ素樹脂
アルミ製マウントクッカー14cm 6050円
フッ素樹脂は少量の油でも食材がくっつきにくい手軽さが特徴。
汚れも簡単に落とせるため、調理後のお手入れも楽にできる。おもにアルミに施されるがステンレスへの加工も可能だ。
フッ素樹脂を長持ちさせるには、調理後に料理を入れたままにしないことや、金属ヘラの使用を避けることが重要だ。
【凹凸】ファイバーライン
(左から)
ファイバーライン スキレット 22cm<ロング> 4400円
ファイバーライン本格炒め鍋24cm 6600円
ファイバーライン 中華お玉 2200円
金属表面に繊維のように細かな凹凸をランダムに施した鋼板を使用。
食材との接触面が少ないので食材がこびりつきにくいのが利点だ。
加工が剥がれることがなく、凹凸が削れてなくなるまで効果は持続する。
高火力でも劣化しないが凸部分が熱くなり焦げやすいので、高火力にしすぎないように。
表面加工のQ&A
■ステンレスでアルマイトみたいに酸化皮膜を作れる?
アルマイト加工はアルミニウム専用の加工だが、ステンレスでも溶液に漬けたり、溶液に漬けて電流を流すことで酸化皮膜を厚くできる。
黒酸化発色と記されたモノがそれで、素材の質感が生きたシックなブラックは塗装とは違って剥離しない。
黒酸化発色 ステンシェラカップ320mlマルシカ・レーザー 6600円
■メッキと塗装の違いは何?
メッキは金属の被膜を作り、塗装は金属以外の被膜を作る。
たとえば「クリアラッカー塗装」と書かれているものは流通時に錆びないようにするもので剥がれることが前提。
一方、銅にかける「錫メッキ」は錫を溶かしたメッキ液に浸して皮膜を作る処理。
硬いモノに当たると傷はつくけれど剥げ落ちにくい。
純銅製 シェラカップ320ml 4950円
■フッ素樹脂加工に違いはあるの?
フッソ樹脂加工は、プライマーとフッ素樹脂の2層からなる。
家庭用鍋ではダイヤモンド粒子を混ぜた層のダイヤモンドコート、鉱物をまぜた層をもつマーブルコートなど2層以上のモノがある。
2層以上の加工は耐久性が高まるが、フッ素樹脂も使用しているため強火にならないよう注意。
出典/ガルビィ2024年10月号