南富良野手ぶらでキャンプ体験レポート第3回 服部文祥が語る「サバイバル登山と北海道の山」
こんにちは! ガルヴィ編集部のシシハラです。
昨年、北海道・南富良野にあるかなやま湖オートキャンプ場で行われた「南富良野手ぶらでアウトドアキャンプ」イベント。今回はゲストとして登場した服部文祥さんの講演会についてご紹介します。
服部文祥さんは1969年生まれ、神奈川県出身で、登山家、作家として活動。情熱大陸にも出演されています!
その服部さんの講演会が手ぶらでキャンプのときに開かれました。
講演会のテーマは「サバイバル登山と北海道の山」。
服部さんは「自然に対してフェアでありたい」という考えから「サバイバル登山」と自ら名付けた登山を実践しています。サバイバル登山は装備や食糧をできるだけ持たずに山に入って長く旅をしていく登山です。つまり、できるだけ自分の力で山に登ろうということです。
山とコミットする、フリークライミング的な登山
服部さんの講演で興味深かったお話をいくつかみなさんに紹介します。まずはサバイバル登山のきっかけとなった「岩登り(フリークライミング)」について。
『現代で山登りというと、登りやすいように道をつくったり、小屋を建てたり、ロープを張ったり、はしごを付けて登るというようなスタイルをよく見かけます。クライミングの世界も同じで、金具を打ってそれを頼りに登るようというような形ができてきました。この変化は悪いことではないのですが、そうすると岩を登ってもビルの壁を登っても、同じなのではないか?と考える人も』
『そこで、「じゃあクライミングっていうのは何だろう?」と考え、「やっぱり自分の手と足だけで登るのがクライミングだ!」と手と足だけで登るのにこだわるようになって始まったのがフリークライミングです。私はフリークライミングを通して、登るというのは、ほんの数センチのバランスの違いで手が出たり出なかったり、そういうことを繰り返し重ねて、それを繋げていくことが“登る”ということではないのか?と考えました』
『私自身も自分で考え、体を動かして登るというクリエイティブなクライミングがすごく面白いと感じるようになりました。そして、「私は日頃、フリークライミング的に山を登っているだろうか?」と自分に問いかけ、「いや、登ってない。登山道をたどって山頂に行くのは、フリークライミング的ではない!」と思い、クリエイティブに山に登ろうと決断。そのためにまず、要らない装備は外そうと考えました。日本の山は食べ物があるし燃料(薪)や水もある。それを自分で山から採ってきて、いただいてそれを取り込み、代謝しながら山を登るほうがより深く山に登ることなんじゃないかなあと思ったからです。やってみたらその通りで、まずおもしろい! そして山を見る目が変わりました。山とコミットメントしていくみたいな感じです』
これがどんどん発展していき、サバイバル登山になったと言います!
山で食べるシマヘビはおいしい?
次に気になる山での食事事情を教えてくれました。
山で何を食べているのでしょうか?
『まずはヘビ。マムシとシマヘビが多く、シマヘビが圧倒的においしい! カエルもおいしいのですが、ただ、カエルは大きくないとさばく労力を費やすほどの肉が取れないんです。だからある程度大きいカエルを探すのですが、山の中で採れるといったら、結局ヒキガエルになってしまいます』
『ヒキガエルは毒が皮にあるので、皮をむいて洗って、塩コショウをしてぶつ切りにして炒め物に。焚き火で炙っても大丈夫です。これを食用ガエルと間違えて皮をむかないで食べてしまい亡くなった事例があったので、皮ごと食べることはおすすめしません』
『魚も釣って食べます。メインはイワナ。北海道だったらニジマスだったり。あとは山菜・キノコ系も採って食べますね』
スライドショーで写真を見ながら紹介してくれたのですが、食べるのに勇気が必要だなと思いました……(笑)。
山では、薪が僕を待っている
そして山登りで大事な焚き火についても。
『火を起こせるか起こせないかっていうのはすごく大事。ただ、雨が降ったり、薪が濡れていても、火が起こせずに震えながら寝たということは今まで一回もないんです。よく考えて丁寧にやれば雨の日でも火は起こせます。もちろん乾いた日より時間もかかるし手間もかかりますが』
『私は「山の中で燃料である薪が自分を待ってくれている」ことが焚き火の魅力だと思います。当たり前のことですけどね。買わなくていい、タダなんです。街から運ぶ必要もない。タダの燃料が僕を待っていてくれるというのがすごくありがたいこと。だからこそ、焚き火は自分の労力で集めることが大事で、そこが面白いところだと思います。もちろん遠赤外線が多くて食べ物もおいしくなるというようないい面は他にもたくさんあります』
講演会のあと、実際に外に出て焚き火の方法を教えてくれました。その火で、早朝捕ったという鹿を調理! 鹿汁を作ってくれました。
焚き火をする場所や、木の組み立て方、火がつきやすい木や燃えにくい木についてなど、役立つ情報をたくさん! 鹿汁も絶品でした。
さて、今回は服部さんについて少しだけ書かせていただきましたがサバイバル登山に興味を持った人も多いと思います! そんな人はぜひ服部さんの書籍「アーバンサバイバル入門」をおすすめします。サバイバル初心者に向けたものです。姉妹本で「サバイバル登山入門」という本もあり、それはより詳しくサバイバル登山について書かれているのでそちらも合わせてどうぞ!
ちなみに余談ですが、軽めのタープなどを持ち、渓で魚を釣ったり、山で山菜を採ったり、きのこを拾ったり、狩猟したりして生活するサバイバル登山の話を北海道ですると「別に普通じゃん」との感想が返ってくるとのこと(笑)。北海道の人はアウトドアのレベルが高いのです!
次回はご飯&キャンプで使えるジェットボイルについてご紹介します!
協力=モンベル
NPO法人南富良野まちづくり観光協会
南富良野町振興公社