着物の端切れが生活の必需品に……手放せない「手ぬぐい」たち
アウトドアメディアを中心に活躍するフォトグラファー・野呂美帆さんが、普段の生活にも取り入れたいアウトドアアイテムを紹介。今回は、「手ぬぐい」が今なお愛され続ける理由を改めて。
日本で古くから愛用されてきた手ぬぐい。江戸時代、木綿の着物を作る際に出た端切れがいつしか生活の必需品になったという。今で言うタオルやハンカチとして、時には日除けやほこり除けとして、無くてはならない存在だったのだろう。そんな昔の必需品が今なお愛され続けている。それにはちゃんと理由があった。
まず、切りっぱなしの両端。
一見するとただ縫う手間を省いているようにも見えるが、そのおかげで水や雑菌がたまりにくく、すぐ乾き、衛生的に保つことができる。そして簡単に割けるので、怪我をしたり緊急時にはビーッと破いて包帯としても使える。
次に、かさばらず軽量。
念のためにと持っていきやすいコンパクトさ。タオルとは違い、使えば使うほど味が出るので汚れも破れもあまり気にならない。逆に風合いが増し使いやすくなる。山小屋では定番のお土産になり、登山や旅には欠かせない存在になったのはそんな理由からきているのかもしれない。
そんな手ぬぐいだが、実は家でも大活躍。キッチンタオルやクロスとして使ったり、目隠しとしてカゴの上にかけたり。
ついつい買ってしまい増えていくけどその分どこでも使えて無駄はない。自分の中で使い分けをし、ボロボロになったら雑巾として最後の最後まで使い尽くす。
街ではおしゃれな雑貨屋にも置かれ、専門店ができるまでになった手ぬぐい。お気に入りの色、柄を見つければ、令和の時代も手放せない生活必需品になるはずだ。
TEXT / 野呂 美帆(フォトグラファー)
この記事は、日常・非日常問わず、暮らしが豊かになるようなアイデアを提案するメディア『日非日非日日(にちひにちひにちにち)』からの転載となります。