【ロングセラーの焚き火台01】スノーピーク:焚火台 L
その昔から今もなお脈々と、キャンパーに愛され続ける超定番の焚き火台をフューチャー。元GARVY編集者が、「スノーピーク 焚火台 L」のロングセラーの理由に迫ります。
この重さだからこその安心感 一生使える頑強さにこだわった
GARVY編集部内でかなりの高頻度で使われていて、出番も多い焚き火台だった。社内の編集部に所属していた期間(2007~2014年)、私自身も誌面撮影の際に頻繁に使っていた。
その理由はやはり、セッティングの容易さにある。平たい収納状態から、開口部をぱっと開くだけで焚き火ができる状態になるのは、本当にノンストレス。とくにやることが多いキャンプシーンの撮影では、この容易さが重宝した。
そしてフォルムの美しさ。三角パネルに脚が溶接されたものが4枚。それが展開時に逆四角錐になるよう溶接されている。三角パネルから伸びる脚の造形も含め、フィールドで絵になる美しさだ。
逆四角錐の形にしたのは、火が燃えるスペースは外へ向かって開いている形状がベストであること、さらに収納を考え、折りたたんで持ち運びができるなど、必要な要素をすべて考察した結果だという。逆四角錐は中央に重量が集中し、そして重みが上からかかることで、押し広げられた各脚がさらに安定する。使用時の安心感も高いつくりだ。
ただ、そこそこ重い。焚き火台単体で約5・5㎏いう重厚感はほかにはあまりない。けれどこの重みこそが、焚き火の熱による変形を防ぎ、一生使い続けられることの証なのだ(ポイント01参照)。焚き火台なのである程度、熱による変形は仕方のないこと。火床部分はとくに。けれど思い起こせば、頻繁に使っていた7年の間、この焚き火台は変形ひとつしていなかった。溶接が外れることも、ガタつきもなし。さすがに焼け付きはあるものの、背筋はシャンと伸びている。そして今でも同じ姿のまま、編集部の現役焚き火台だ。スノーピークに聞いたところ、通常使用での修理の問い合わせや壊れたという話は聞いたことがないという。これはすごいことだ。
こうして誕生から25年のこのモデルは、構造はそのままに、多くのユーザから愛されている。2021年には、ソロに特化した焚火台SR、大人数に最適な焚火台LLをリリース予定だ。
本体の1.5㎜厚のステンレス板には、スノーピーク製品の証である刻印が。現在Lサイズは社外の工場で製造されており、ロゴ下は「MADE in JAPAN」。ほかのサイズは社内工場で製造され、「HEADQUARTERS」の刻印も。
オプションのグリルブリッジ(5940円)は焚火台にセットすることで、網やプレートなどが使えるようになる。脚部の凸凹で3段階の高さ調整ができ、火加減のコントロールが可能だ。
POINT 01 1.5㎜の板厚を採用し軽さよりもタフさを追求
開発の際、何度も耐火・耐久実験を行って導き出されたのが、1.5㎜厚のステンレス板の採用。これ以下の厚みだと、過酷な耐熱実験ではステンレス板が変形してしまう。当然、板厚を上げれば重くなるが、「一生使い続けられる」スペックにするため、迷うことなく1.5㎜厚を採用した。
POINT 02 繊細な調整を繰り返しロボットによる溶接を確立
焚火台は国内の工場で、溶接ロボットを使い製造している。高品質な製品づくりのために試行錯誤し、微調整を繰り返し、一連の溶接工程を確立した。三角板と脚のパイプは確実に接合され、焚き火の熱に負けることはない。
シリーズ製品
上から順に、
焚火台 S [1-2人用] 9460円
焚火台 M [2-3人用] 1万3860円
焚火台 L [3-4人用]
GARVY’s CHECK!
“機能美”を感じさせるたたずまいがたまらない
逆三角錐のフォルムと、三角形のパネルから斜めに地面に設置する脚のパイプ、そしてデザイン性をもちながら燃焼を助ける空気孔。シンプルで無駄がなく、そのたたずまいはまさに機能美。使っても、眺めても楽しめる焚き火台なのだ。
折りたためばスリムな収納サイズ
使用時は大きく使え、たためば薄く平らに収納が可能。重さはあるが、このコンパクトさは持ち運び、クルマへの積載も便利。別売の収納ケースは肩掛けができ、袋には余裕があるので、オプションギアも一緒にしまうことができる。
“開くだけ”というセッティングの容易さ
収納袋から取り出したら、あとは本体を開くだけ。本体に脚が溶接されているので、それだけでセッティングが完了する。パーツを組み立てるなどの手間が一切なく、ワンアクションで準備ができるのは本当に便利。
合わせて使いたい関連プロダクト
焚火台シリーズの関連ギアはいくつかあるが、やはり注目は火を囲めるジカロテーブル。テーブルトップは焚火台と同じステンレス製で、デザイン的にも相性抜群。2014年度のグッドデザイン賞を受賞したテーブルだ。
スターターセットの各パーツも焚き火の熱に負けない剛健さ
焚火台Lと収納ケースに、焚火台ベースプレートL、炭床ProLが付属するスターターセット(2万7280円)も用意。炭床Proの素材は鋳鉄製で重量はあるが、焚き火の熱にへこたれない強靭なものになっている。
焚火台の主な年表
1995年 開発がスタート
1996年春 「焚火台」発売。当初はLとSサイズのみ
1996年 「焚火台S」がグッドデザイン賞を受賞
2000年 「焼アミ」「グリルプレート」などの調理系オプションを拡充
2001年 ユーザーの要望に応えMサイズが登場
2014年 焚火台を囲める「ジカロテーブル」発売
2021年 二次燃焼を促す「フローガL」が発売
ユーザーからの「よくある質問」
「仕組みが単純なので故障も少なく、あまり質問はないのですが……」とスノーピーク担当者。あえて言うなら下記のふたつ!
Q.どのサイズがおすすめですか?
A.ソロならS、調理込みのソロや2名程度の使用ならM、3名以上で使うならLをおすすめしています。
Q.手入れの方法を教えてください
A.使用後は完全に冷ましてから、灰を水で洗い流し、しっかりと乾燥させてください。