「そんな使い方あり?」調理に最適な熾火の“じゃない”使い方が画期的すぎた…!
フィールドで使う道具は己の分身。だから自ら作りだす。それが長野修平さんの道具作り。
今回はフックナイフや彫刻刀ではなく、焚き火の力で彫り進める小さな豆皿。
長野修平さん
ネイチャークラフト作家、野外料理人。
スウェーデンのモーラナイフ公認日本・台湾アンバサダー。
著書「里山ライフのごちそう帳」(実業之日本社)他。
手のひらで焚き火をするような感じ
昔、焚き火にあたりながらナイフで木のスプーンを削っていた。
刃先のカーブ刃でえぐって窪みを彫っていたがササクレが残る。
そこでやってみたのが窪み大の焼け石をそこに載せる手法。
煙と炎を上げ、アッと言う間にきれいに仕上がった。
さらに大きな窪みを焼いてみたくなって始めたのが、この熾火を載せて焼いて彫るという焚き火彫りだ。
それはまるで手のひらで焚き火をするような感じ。これぞ火遊び。褒められはせよ、叱られない大人の遊びなのだ。
今回の素材 2×4の端材
厚さが38mmで幅が89mmの建材がツーバイフォー(2×4)。
スプルース(エゾ松)、パイン(松)、ファー(モミ)の3種類の木材の頭文字を取りSPFと呼ぶ材。
ホームセンターなどで1.8m材が250円程度と安価だ。
今回のマイツール
焚き火彫りの豆皿の作り方
①少量の熾火を載せる
長さ20cmの2×4材へ窪みガイドラインを描く。その2cm内へ熾火を載せ火吹き棒で吹く。
ラインまで焼けると深さも2cmほどに彫れる。
②炭化した部分を削りとる
焼いた窪みの5mmくらいは木が炭化した部分。それを金属製のスプーンでしっかりと削り取る。
③皿の内側を整える
2で削った窪みを微妙に修正したい場合は、フィールドチャッカーなどのバーナーで炙る方法もある。
炙ったら再度スプーンで削る。
④払った粉を集めておく
窪み削りの仕上げはタワシで磨き上げるようにこすっていく。
その時に出るこげ茶色の粉は最終仕上げで使うので集めておく。
⑤オノでアウトラインを削る
アウトラインは、木目が直角でヒビが入りやすい長皿前後で3cm、それ以外は1cmに描く。
オノを短く持って支える手より低い位置で作業する。
⑥縦・上・横から見た粗削り
オノ削りは縦・上・横から見たアウトライン順に。その後で窪みに合わせた全体の丸み。
中心から外に削ると順目方向になり失敗しない。
⑦ナイフで整える
オノ削りが限界にきたらナイフに変える。ここでも中心から外へ削る。
皿を体に押し付け固定し、ナイフのみを動かして削ると良く削れる。
⑧面取りをする
豆皿のフォルムが削れたたら、ナイフでエッジ部分の面取りをして削りが全て終了。
⑨黒のりで割れを塞ぐ
焚き火彫りの窪みには木目に沿ったひび割れのような筋ができやすい。
4で集めた粉を米粒で練った黒のりを作り、その割れ筋を埋める。
⑩オイルをたっぷり含ませる
最終仕上げはサンドペーパーで全体を軽く磨き、エゴマやクルミのオイルを窪みへたっぷり垂らして、染み込ませながら全体に伸ばす。
⑪完成!
TEXT/長野修平
PHOTO/中里慎一郎
出典/ガルヴィ2019年6月号
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