ガルヴィ30周年特別企画 「パートナーブランドと振り返るキャンプシーン」〜コールマン ジャパン中里豊社長インタビューその3〜
コールマン ジャパンの歴史
1900年頃、アメリカでW.C.コールマンがマントル式ランプのレンタル会社を作り、1901年にランプの専売特許権を取得したのが「コールマン」のはじまり。日本上陸は1976年のこと。当初はアメリカ法人「日本コールマンInc.」として創業したが、1984年に日本法人「日本コールマン」、そして1992年「コールマン ジャパン」となっている。
中里 豊社長
商社、外資系化粧品メーカーを経て、2015年よりコールマン ジャパン4代目社長に就任。製品づくりとともに、キャンプの魅力発信に尽力している。
モノ消費からコト消費へ
ライフスタイルを見直すタイミング
2010年以降、じわじわと盛り上がっていたキャンプが、コロナ禍をきっかけに比較的安全なレジャーとして注目されている。
週末のキャンプ場は予約を取りづらく、冬の平日でも人気が絶えないほどの人気ぶりだが、キャンプブームの盛り上がりとともに聞こえ始めたのがマナーの悪化だ。
「旅行が好きで世界中のいろいろなところに行っていますが、世界的に見て日本人は何をするにしてもマナーが非常にいいんです。
マナーが悪い人が増えたという声が聞こえますが、単純にキャンプのマナーを知らない人が増え、知っていても自然の中で過ごす楽しさにテンションが上がったからでしょう」
本年よりコールマンは、自分も周囲の人や自然も楽しくなる指針「グッドキャンパーの心得」を発表。失敗も最高の思い出となることを示しつつ、自由な楽しみ方+絶対に守るべきルールを明記した。
「キャンプの失敗、マナー違反の中には、一歩間違えれば火災やガス爆発、一酸化炭素中毒など命に関わる危険が潜んでいてこれは見逃せません。とんでもない事故が起きて、それがブーム終了のきっかけとなるのかもしれませんから。
事故を防ぐために必要なことを伝えることも、キャンプを文化として根付かせたいと考えている弊社としての役割です。
それに第一次キャンプブームのときはモノを作って売るだけ、キャンプ場を作るだけ。ゴミが増えるなど環境が悪化しことがブーム終焉の原因のひとつと考えられます。
啓発活動というと大げさですがガルヴィさんをはじめ、メディアのみなさんとともに協力しあいたいことのひとつです」
「コロナ禍で大型イベントは自粛、代わりにオンラインイベントが開催されています。比較的安全と言われるキャンプイベントもオンラインが増えました。自宅でキャンプの雰囲気を味わえるなんて、本当にすばらしい時代です」
「とはいえ、自然の中にいることで得られる感動体験はオンラインでは味わえないもの。きれいな景色の中にいるとそれだけで気持ちがいいし、自然のなかで食べる料理はなぜかおいしい。それに焚き火をしながら家族や仲間と過ごしていると、不思議に心を許せ、心の内を語り合えるようになります。
どんなに時代が変わっても、この感動体験は30年前、40年前と変わっていないし、今後も変わらないんじゃないでしょうか」
コールマンは昨年11月、キャンプイベント(The Coleman Camp 2020)を開催した。
「人数を絞り、マスク着用と毎朝の検温を行うというルールを設け、アメリカのコールマンを説得しました。ルールを作っても本当に全員が守ってくれるか不安でしたが、みなさん快く協力してくれたのは感激です」
窮屈な時代だが、コロナ禍をきっかけに自分自身や家族のあり方を見直した人は多く、小さなコミュニティの大切さに気づいた人は多い。
キャンプの場合、密にならず、こぢんまりとしたイベントも満足度が高く、もっと小さな単位=家族だけのひとときも楽しい。コールマンのイベントはキャンプにはそんなポテンシャルがあるという証となった。
「そうはいっても早く読者のみなさん、ユーザーのみなさんとキャンプ場でお会いしたいですね」