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野外での工作遊びは何がいい? 筆記具「kitpas」のデザイン手がけるしげおかさんに聞く

2021.09.02

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キャンプの醍醐味ともいえ、大人だけじゃなく、子どもも大好きな野外遊び。一度、野外にとび出してしまえば、そこに「子育て」は不要で、子どもは遊びを介して自ら育つもの。そんな「子育ち」をテーマに、毎回さまざまなゲストに登場していただく連載。

今回お話を伺ったのは、「STUDIO pippi」の名で、子ども向けワークショップや企業の商品開発等を通して楽しいものづくりや遊びを提案する、造形あそび作家のしげおかのぶこさん。紙はもちろん窓ガラスにも描ける筆記具「kitpas」や無印良品の「おふろポスター」等のデザインも手がけるしげおかさん。ご自身も働くママであり、そんなご自身の目線や経験を活かしたユニークかつシンプルなアイデアに、親子共にファンは多いです。

子ども向けのものづくりのアイデアを発信しているSNSも人気のしげおかさん。キャンプやアウトドアの野外でも、こんなものづくりが楽しめたら、遊びのバリエーションがぐんと広がりそうです。

大事なのは完成形ではなく、遊びの過程

――キャンプでは荷物も限られてしまうので、子どもの遊びがワンパターンになりがちです。野外でも何か工作遊びができたら遊びの幅が広がるのにな、といつも思います。

「工作遊びは室内でやるものと思われがちですが、野外ならではの楽しみもたくさんあります。まずは素材です。野外には、葉っぱや枝や石やどんぐりといった自然の素材がすぐそばに、しかも豊富に落ちていますよね。さらにそれらは、一つとして同じものがない。また、当たり前ですが、野外では山や海や川や森が見えたり、室内とは景色が違います。そこから、いつもと違うインスピレーションやアイデアが得られると思います。以前、3歳だった息子と横浜に行った時、港の船を見て『船をつくりたい!』と言ったので、紙とマスキングテープを渡して、船を作ったことがあります」

――確かに、野外では景色もそうですし、常に色々なことが起きるので、子どもは自ら興味の対象を見つけていきそうですね。ただ、画用紙などの工作道具をなかなか持ち運べないことも多いです。

「船の例では、息子の退屈しのぎ用に紙とマスキングテープを持ち合わせていましたが、何もなくても落ちてるものだけで十分遊べます!子どもは拾ったり集めたりが大好きです。例えば集めたものを並べて模様や形を作ったり(写真はお弁当箱を作ったときのもの)、数遊びをしたり。集めたものを商品にして、お店屋さんごっこもできる。多数の枝を立てて囲みを作り、その『基地』 の中で遊んだり。また、集めた葉っぱをお家へ持って帰って壁に貼ると『葉っぱ美術館』遊びもできます。葉っぱは時間とともに色や形が変わるので、それを観察して数日楽しめます」

――素材が無限にあるというのは、子どもが納得するまで好きなことに取り組めるということでもあるんですね。

「そうなんです。子どもの工作遊びを提案するときはいつも、『遊びの過程』を楽しんでほしいと思っていて。工作のワークショップなどでは、『なんでもOK』にしてしまうと収拾が付かなくなったり、逆に難しいと感じてしまう子もいるので、テーマを設けてどうしても最終形としての見本を提示する必要がありますが、最終的にそれと違うものができたって良いし、それよりも自分で発見したりあれこれ試したりしたその過程を楽しんでほしいし、親御さんにも一番大事にしてほしいと思っています」

――とはいえ、お教室や幼稚園などで行われるものづくりでは、親御さんは過程を見られないので、完成形を評価したり感想を述べてしまうのは、無意識にやってしまいそうです。

「以前、絵画教室のアシスタントをしていた時、一人の子がいろんな色を混ぜて最終的にそれらを全部混ぜて黒っぽい色になった絵を完成させたことがあって。迎えにきたお母さんがそれを見て思わず『何?このぐちゃぐちゃ』と言ったことがありました。それは確かに率直な意見だとは思うんですが、でもその子がここに至るまでに、色遊びに没頭して様々な色を楽しそうに作っていた途中の姿を私はすごく知っていて。そのときに、最後だけを見て判断するのは残念なことだなと思ったんです。何気ない一言に対して、子どもが自信を無くして作品を見せてくれなくなってしまうケースもあります。完成に辿り着くまでにはきっといろんな楽しみや悩みや様々な経験があったはずなので、『どんな順番で作ったの?』などと、途中を聞くようにすると良いですよ。聞かなくとも子どもがスッキリした表情をしていれば、それだけで充実した時間だった!と思いますし」

――しげおかさんのワークショップが「こどもじっけんしつ」なのには、そういった理由があるんですね。

「そうなんです。大人にとっては当たり前のことも、子供にとっては『初めて』ということも少なくありません。初めての素材や感触など。例えば、うちの子が以前、拾ってきた葉っぱを折り畳んだり切ったりしてカタツムリを作ったことがありました。私にとってはそういう発想はなかったので驚きましたが、また新しいものを見せてもらったなと思ったんです」

――そういった子どもの遊びの過程をそばで見られるのも、野外遊びの醍醐味といえそうです。

野外工作にあると便利な3つの神アイテム

――野外に持って行きやすい、おすすめの工作アイテムがあれば教えてください。

「道具というほどのものでもありませんが、例えば、自然の素材を集める時に何か入れ物があると集めやすいし、そのまま蓋をして持ち帰るのにも便利です。卵のパックや折りたためるケーキの箱など。自然の素材は、季節とともに移り変わるので、集まるものも違います。同じ箱を繰り返し使うことで、季節や場所の違いを一目で見ることができて楽しいです。もう少しお道具らしいものなら、とにかく1番はマスキングテープをオススメしています。もう少し荷物に余裕があれば紙や折り紙。さらに追加でハサミがあれば、遊びの幅がぐんと広がります。紙はA4のコピー用紙でも、画用紙でも。クリアファイルに数枚入れて、カバンに入れればそこまでかさばらないです」

――マスキングテープと紙とハサミの3点ですね。ただでさえキャンプは準備が多く、荷物の量が気になりますが、それなら気軽に持ち運べそう。

「キャンプやピクニックで登場する可能性の高い、紙皿や紙コップ、ペーパーナプキンなども色々と使えます。紙皿を折りたたんでマスキングテープで留め、取手をつければ小さなカゴができますし、集めた葉っぱやお花を紙コップにマスキングテープで留めるだけで、誰のコップかという目印になりますし、テーブルも華やかになります。特にマスキングテープは、食べかけの食材やお菓子の袋を留めたり、工作以外にも色々と使えるので、重宝しますよ」

――キャンプやアウトドアに限らず、旅行中や外食時のちょっとした時間潰しにもなりますね。ほんの少しの工夫とアイテムで、子どもの野外工作は無限に広がっていく気がします。

「今日ご紹介したのは『工作』とも言えないような、本当に簡単なものばかりです。工作が苦手という方や、忙しい親御さんでも取り入れやすいと思うので、是非子どもと一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。先ほどお話した、横浜で息子が船を作った話にはその後のストーリーがあって。1年ほど後に、もう一度同じ場所に行ったのですが、息子がそこで船を作ったことを覚えていて『また何か作りたい!』と言い出したんです。その日は船ではなくバスを作りましたが。そこで感じたのは、以前工作遊びをした時の気持ちの盛り上がりみたいなものが、言葉には出さずとも、ちゃんと心のどこかに残っているのだということです。そういう特別な気持ちを、これからも大事に育てたり、私自身も気付けるようにしたいなと思います。

造形あそび作家
しげおかのぶこさん
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