日本の焚き火と世界の焚き火の違いとは?焚火料理人が語る
アウトドアの楽しさを広めている長野修平さんと寒川ハジメさん。
日本はもちろん海外でも活動しているふたりが見た、日本の焚き火と世界の焚き火とは?
寒川ハジメさん(右)
アウトドアライフコーディネーター。
アンプラージュインターナショナル(以下、UPI)のアドバイザーであり、UPI OUTDOOR鎌倉店でも焚き火を披露。
北欧アウトドアに詳しい。
長野修平さん(左)
ネイチャークラフト作家であり焚き火&山菜料理人。
本誌ほか多くのメディアやイベントを通じてモノ作りの魅力を広めている。
自作の自宅兼アトリエの裏には焚き火ができるスペースあり。
寒川さんが見た北欧の焚火
焚き火を伝える2人には、世界中に友人がいて、現地の焚き火に触れることも多い。
以前、寒川さんが北欧に出かけた際、いったいどんな最新の道具で焚き火を楽しんでいるのだろうかとワクワクして現地の雑誌を広げたところ、そこにあるのは最新とはほど遠い、古いスタイルだったそうだ。
「トレイルでモノラルの焚き火台を使っていたら現地の人に声をかけられました。
そのデバイスはなんだ、ってね。
基本的に直火をしてもいい環境の北欧では焚き火台を持ち運ぶという概念がない。
だからでしょうね、丸めて持ち運べる焚き火台とトライポッドは、彼らにとって道具(ツール)というよりは装置(デバイス)なんですよ」(寒川さん)
クラシカルな北欧焚き火は、焚き火歴の長い寒川さんにも大きな影響を与えた。
今は伝統的なラップランド式コーヒーの入れ方を復活させたレンメルコーヒーに注目。その魅力を伝えている。
「レンメルコーヒーは湯を注いで茶葉がやんわりするまで待つ日本茶に似ていて、自然に成分が抽出されるまで“待つコーヒー”なんです」
シンプルだけれど、やりようは無限。
沸騰させない温度を見極める、豆の量はフィーリングで決め、豆が沈むまでのプロセスは数値化できず、観察するしかない。
すべてはその人次第。まるで禅だ。
白夜と極夜の国のレンメルコーヒーが伝える“濃いコーヒーで覚醒し、寝る間を惜しんで人生を楽しもうぜ”というメッセージを胸に、禅の国・日本で焚き火を楽しむのも悪くない。
長野さんの考える焚き火
クラフトのワークショプであっても、焚き火ができる環境なら必ず焚き火をして肉を吊すという長野さん。
「火があることでいろんな人が集まってきます。そして、火にはアナログ感というか非日常感を味わえます。
僕にとってはもはや日常でさすがに新鮮味はないけれど、何度やってもこれがベストということはありません。
毎回、こうやったらよかったのかな、と考えさせられる。
それが楽しくて何度焚き火をしても飽きないのかもしれません」(長野さん)
焚き火をして煙をあげて、ここにいるぞと長野さんは主張する。
人々は、焚き火があるところは暖まれるだろうとやってくる。
そこに肉を吊していれば 「肉を食べられる店ですか」と長野さんにたずねる。
それに対して伝えるのは「ここは木を削る店です」。
こうしてクラフトのことを知らない人にも、興味をもってもらう第一歩が開けるのだ。
「焚き火に吊している肉はスタッフのまかない用。
だけど、あなたのふるまいがよければわけてあげますよ……そんな冗談を言い合うのもおもしろいね」(長野さん)
SNSを通じて、台湾やアメリカ、北欧の人たちが長野さんの手による焚き火や作品をチェックしている。
さらにモーラナイフと出会ったことで、クラフトの世界がガラリと変わったそうで、今後は焚き火や日本の木工文化を世界に発信して影響を与えたいと目標を掲げる。
「アメリカのデイブ・カンタベリーが僕のSNSをチェックしているみたい。いずれアメリカでモーラのイベントをするから、シューヘイ、来るんだぞってメールが届いたし、モーラ本国のイベントでもワークショップを開いてほしいと言われたし」とこっそり教えてくれた。
世界に長野さんの焚き火&クラフトスタイルが広まる日は決して遠くなさそうだ。
Photo/猪俣慎吾
出典/ガルヴィ2018年12月号
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