キャンプの達人が選んだ“焚き火ギア”「不思議な着火装置とは…?」
アウトドア好きが集うカフェ「BASE CAMP」では、店主であるA-sukeさんがスタッフとともにグループキャンプをすることがある。
焚き火を囲むときはみんな平等。思わぬ本音が出ることも少なくないらしい。
焚き火愛好家たちの達人キャンプ。さて、どんなキャンプをしているのか覗いてみよう。
A-sukeさん(左上)
カフェ「BASE CAMP」店主。
キャンプからフライフィッシング、狩猟までアウトドアの知識が豊富で、小誌ほかメディアでは、理論だてた説明が好評だ。
ミヤっぴさん(右上)
農園コンサルタント、発酵クリエーター。
「農キャンプ農ライフ」代表であると同時に、週1で「BASE CAMP」をフォローする。
オギさん(左下)
藍染めユニット「トシュカ」として全国各地でワークショップを行いつつ、空いた時間に「BASE CAMP」をお手伝い。
ナナさん(右下)
「BASE CAMP」スタッフ。キャンプ歴は1年ほど。
自由に焚き火を楽しむキャンプサイト作り
グループキャンプというと、とかく協調性が求められる。
勝手な行動は避けたほうがいいが「いつでもいっしょ」は少々厳しい。
話し合いの末、決定したのは焚き火を中心にした共通リビングを各自のテントがぐるりと囲むレイアウト。
自由と協調のさじ加減が絶妙だ。
リビングの中心は当然、焚き火。
いつもみんなが同じことをするのではなく、好きな時に寝ていいし、自分のしたいことをすればよし。自由だ。
各自のテントの入り口は、焚き火に向けて設営する。
これならテントで休みながらも、みんなの様子をうかがえる。
みんなが協力しあうような作業に遅れることがない。
もちろん、ひとりで先に寝てもOKだ。
晴れが続くようであればタープだけでいいが、秋〜冬の雨は冷えてしょうがない。
ツインピルツを用意すれば雨でもみんなで過ごしやすい。
みんなの荷物をさっと格納できるのがいい。
基本的に、自分の道具は自分で保管するのが鉄則。
だが、遊び道具など、みんなで使う道具はシェルフを用意して、そこにまとめて管理。
小物がすぐそばにあるので、道具談義に花が咲くという効果もある。
チーム「BASE CAMP」の焚き火アイテムはメリハリあり
チーム「BASE CAMP」では事前に共通の装備、個人の装備を相談することで、道具の重複を省いている。
今回、A-sukeさんは主に共用アイテムを担当。
「いろいろな道具を手にしてきたけれど、シンプルで後片づけが楽な道具が、結局活躍します。
今回は焚き火がテーマなので焚火台Lとトライポッドで2段調理仕様です」。
A-sukeさんの焚き火道具
ロッジの「トライポッド」は、接続不要で広げるだけ。
全長が短くはならないがその分、安定感がある。
肉を劇的にうまく焼ける「男前グリルプレート」と鉄製の「ココパン」は、どちらも焚き火対応かつ取っ手がなくて持ち運びやすい。
焚き火用グリルであり、ゴトクとしても使えるパーセルトレンチのパッカーズグリル。
見た目は重そうだが中空ステンレスのため非常に軽い。
激似品もあるが、漂う品格と哲学は元祖ならでは。
コンパクト収納ができても、細かなパーツを組み立てるのは面倒。
スノーピークの焚火台は広げるだけで準備完了。
灰を捨てた後は逆さまにしてパタパタと開閉するだけで、細かな灰が落ちるので時短に役立つ。
ミヤっぴさんの偏愛焚き火道具
左からバイオライトのスティックスナッパー、ブラジルのホットサンドメーカー、ファイヤーピストン、チャークロスと麻ひも、ナイフ大小。
注目は、ディーゼルエンジン発明のヒントになったといわれるファイヤーピストンだ。
ハンドルを押し込むことで、中に詰めた火口(おもにチャークロス)に灯がともる、不思議な着火装置。
オギさんの藍染めカスタム
左からグローブ、鍋敷き、多機能ナイフ、火ふき棒、ナイフ、エスビット、トング、トーチ、焚き火台。
藍染め作家のオギさんは、布やレザーを藍染めでカスタム。定番の白いグローブもこのとおり、オシャレ度アップ!
焚き火料理は火加減が肝心!
この日の料理は、香草を詰めた焼き魚、ニジマスのホイル焼き、アスパラのベーコン巻き、鉄板ステーキなど、とことん焚き火の熱を利用するものだ。
焼き芋、焼き魚、煮込み、ステーキなど、A-sukeさんから料理名を聞いたらそれぞれが準備をしていく。
お客さんは誰もいないのがステキ。
本来の使い方とは異なるが、焚き火台の穴に串を打ったサカナを立てて、じっくり火を通す。
ふっくらとした身はほのかにスモーキー。
焚き火で料理をする際は、炎がゆらゆら立っている状態ではなく、炎のない熾火がベスト。
熱量が安定し、ススが食材につかずにベストな状態で焼きあがるのだ。
鍋や鉄板を使う場合も同様で、熾きとなった場所に置くといい。
串焼きは、食材が回ってうまく焼けないという声があるが、これは串を2本以上使うことで解決する。
片側を広げた扇状に打つと美しく、持ってひっくり返しやすい。
また、サカナは泳いでいる姿を再現すると、料亭のような仕上がりになる。
焚き火の片付けにもダッチオーブン!
火消し壺の代わりにダッチオーブンを使うのがA-suke流。もともと灰は石けんの原料として使われていたので、理にかなっているのだ。
灰捨て場がない場合は、ダッチオーブンに入れてからテント等の撤収に取りかかる。
ダッチオーブンなら密閉できて確実に消火できるし、撤収の間に冷えて安全に車内に入れておけるのだから。
焚き火の終了時間を計算し、薪を燃やし尽くすのが基本。
元気に燃えている薪も、散らして単独にすることで燃焼に必要な熱量を減らせるのだ。
ほぼ灰になったが、途中で立ち消えしたものは灰ごと持ち帰る。
PHOTO/逢坂聡
TEXT/大森弘恵
出典/ガルヴィ2019年12月号
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