これ一度やってみたかった!焚き火の達人が教える、スペシャルな焚き火
ネイチャークラフト作家・長野修平さんの工房裏には、スペシャルなキャンプサイトがある。
家族で焚き火を囲む貴重な場所だが、焚き火もクラフト感あふれるユニークなもの。
では、長野さんがどんな焚き火をしているのか紹介しよう。
長野修平さん
ネイチャークラフト作家であり焚き火&山菜料理人。
本誌ほか多くのメディアやイベントを通じてモノ作りの魅力を広めている。
自作の自宅兼アトリエの裏には焚き火ができるスペースあり。
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焚き火に欠かせないトライポッド
モノ作りを生業とする長野さんだから大抵のモノは自分で作る。
食器やファニチャー、ランタンなど、長野家のキャンプ道具は手作り作品で満ちている。
当然、今回作ったトライポッドはお手の物。
「枝など少し曲がった部分があるものが好き。そこにトングなんかを引っかけられるし、分かれた枝が長すぎて邪魔なら切ればいいんです」(長野さん)
トライポッドの組み立て方
①枕木を置き、その上に木を並べて並行になる部分を探す。
ここがロープを結ぶ位置なので木は動かさない。
ロープは綿製だと締まりがいい。
②ロープを結ぶ位置からほぼ同じ長さにそろえる。
ノコギリで切るより、ナタやオノでとがらせるよう削れば地面にしっかり固定できる。
③枕木にのせておくとロープを木の下に通しやすい。
真ん中の木にまき結びでロープを固定したら、8の字を描くように左右の木に巻き付ける。
④緩まないようきっちり8の字に巻き付け、ロープの幅が木の直径と同じくらいになったら、木と木の間にロープを割り入れる。
⑤もう片側の木と木の間も割りを入れたら、もう一度しっかり締め、最初に巻き結びにしたロープの端と、反対側のロープを結んで固定する。
⑥木を立てて、広げるとトライポッドの完成。
緩みがないか、もう一度確認しておこう。最後の結びは蝶結びだと片付けやすい。
焚き火場を作って火とともに過ごす
雨上がりや雪の中など湿気の多い環境では薪に火がつきにくい。
薪を手で折り長さをそろえつつ、内側が湿っぽい薪を地面に敷き詰め、その上で焚き火の準備をするとスムーズに進行する。
よく乾いた葉っぱや極細の枝をふんわり置き、その上に小枝をティピィ状に重ねる。
長さと太さをそろえておくと、崩れず、きれいなティピィ型をキープできる。
ファイヤースターターで着火
①フラットな薪の上に、ほぐした麻ひもなどの火口をこんもりと置く。
火口の手前に足を置き、甲にナイフを持つ手を置いて固定させる。
ナイフの背にファイヤースターターを添え、その手をすばやく引くと、火口に向かって火花が出る。
燃える火口は台にした薪ごと動かし、準備しておいたティピィ状に組んだ薪の中に入れる。
トングがなくても安全に炎を移せる。
焚き火コーヒー
大のコーヒー好きと知られる長野さんだから、焚き火の間中、ケトルをかけていつでもコーヒーを飲めるようにスタンバイ。
最古の焚き火コーヒーといわれるレンメルコーヒーを、自作ククサに注ぐ。コクだしの塩も忘れずに!
知人からもらったエゾシカの角が、ケトルを吊るすフックとなる。角は焚き火にかけても黒くなるだけで、燃え上がることはないため、フックがわりにちょうどいいのだそう。
焚き火を積極的に利用する
焚き火彫りは、焚き火好きなら誰もが取り組みやすいクラフトのひとつ。
くぼみをつけたい場所に熾きをのせて空気を送りつつ炭化させる。
フックナイフやノミを使わなくてもカップを作れる。
炭化した部分を、金属製のスプーンなどでこすり落とす。
熾きで炭化させ、こすり落とす……を繰り返し、最後にアウトラインを整えれば皿やカップのできあがりだ。
自分で作れば愛着がわくし、作業に慣れればアレンジしてより使いやすいモノを作れるようになる。
焚き火だって、薪割りが楽にできる道具はあるし、市販の薪もある。
しかし、自分の手で作業するから刃や木、炎の特性がわかる。
焚き火やキャンプを通して学ぶものは計り知れない。
PHOTO/逢坂聡
TEXT/大森弘恵
出典/ガルヴィ2019年12月号
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